セミナー情報

平成20年度「基礎講座&相談会」報告

開催日時:2008年 10月25日・11月9日・16日

らいふあっぷ基礎講座&相談会
円滑な管理組合運営と適切な維持管理による快適なマンションライフをめざし 会場の様子
マンションライフにおいて発生する様々なトラブルを未然に防ぐためのノウハウを身につけることはとても大切です。建築や法律の専門家がそれぞれの立場から分かりやすく説明しました。

ご案内
10月25日・11月9日・16日開催「らいふあっぷ基礎講座&相談会」のビデオ視聴をしていただけます。
<場所> 大阪市立住まい情報センター4階 住情報プラザ内
<お問い合わせ>TEL:06-4801-8232
*詳しくはこちらをご覧ください。
  [ セミナービデオ視聴のご案内] ※Adobe Readerが必要です。

10月25日
国のマンション施策と今後についての解説はじめ、日常的にできる防犯対策とチェックポイント、関心の高い管理費等の滞納対策をテーマに開催しました。 国のマンション施策と最近の動向

 分譲マンションの現状ですが、平成19年末時点で、マンションは全国で528万戸、住んでいる方は1300万人にのぼります。これは日本全国の人口の約1割に相当します。このうち築30年以上経っているマンションは63万戸、これが5年たちますと100万戸を超えるのではないかと予想しています。また昭和56年に耐震基準を大幅に見直していますが、見直し前の基準で建てられたマンションが100万戸を超えています。
 マンション居住の動向としては、住民の高齢化、賃貸化、永住化が3つの大きな傾向です。
 そこで分譲マンションをめぐる課題として、国は何を重要だと認識しているか。そしてその課題に対して、どのような方向性で議論をしているのか。現在進行形の話でありますが、ご紹介したいと思います。
●長期修繕計画を普及させるために
 マンションを計画的に維持管理するには、長期修繕計画を作っていただくことが重要です。それも十分な計画期間を確保し、それに基づいて修繕積立金を積み立てていただきたいのですが、その長期修繕計画自体が不十分なところが多い。これが課題の一つ目です。これに対して国土交通省では、長期修繕計画の標準様式やガイドラインなどを作成し、平成20年6月に公表しています。また、長期修繕計画をつくるとこんなにいいことがあると実感していただけるような制度などをいま検討しています。
●上手に管理ができるための仕組みを
 管理組合の方々は管理の専門家ではないために、管理がうまくいっていないところがあります。そこで管理に精通した人が管理組合に入っていただく、ないしは理事長になっていただいて、代理で管理組合の仕事をしていただく仕組みが必要ではないかという議論があります。第三者管理方式とか管理者管理方式と呼ばれるものです。高齢化、賃貸化、空室化に伴う役員のなり手不足を解決する一つのオプションとして、こうした方式のルール化を検討したいと思っています。
●大規模マンションでの意志決定を円滑に
 最近、大規模な超高層タワー型のマンションが非常に多くなっています。一つのマンションの中に1000戸、2000戸といった多くの区分所有者が居住されており、合意形成が大変ではないか、何らかのルールが必要ではないかと考えています。そこで専門的に従事していただける専門部会や、理事会の中に諮問機関を設け、それを管理規約の中で明確化したうえで、ここで決めたことを、皆さんで行った決定とみなすといった方法が考えられます。多数の住民の方がいらっしゃる中で、円滑に意思決定をしていくための仕組みは、今後非常に重要になるのではないかと考えています。
●管理トラブルを現実的に処理するために
 騒音、ペット、管理費滞納など非常に多岐にわたる管理に関するトラブルが起こっています。そこで、駆け込み寺というか、何でもいいから話を聞いてもらえる、あるいはアドバイスをもらえる組織が整備できないだろうかと、現在検討しています。
●適切な維持管理や修繕・改修をするために
 高経年マンションは、適切な維持管理やバージョンアップをしていただきたいのですが、そこがうまくいっていません。例えば建物の高経年化とともに住民の方々も高齢化されていて、バリアフリーのニーズが高くなる一方で、現状ではわずかなマンションしかエレベーターが設置されていません。そこには、法律的な規制があったり、費用負担面で合意形成がとれないなど、さまざまな問題があります。それに対して何らかの仕組みがないだろうかと、これも検討しているところです。
●建替事業や団地再生を円滑に進展させるために
 改修や修繕で対応できないものは、建替えが必要になってきますが、建替えを含めた再生がなかなか進展していません。この建替事業にしましても、手続き面、規制面でネックになっているところをいま一つ一つ洗い直しながら考えている段階です。

マンションの防犯対策

 大阪府下において昨年1年間の空き巣等侵入窃盗被害は1万3600件、被害総額は約40億円程度です。また、侵入盗空き巣の62%がマンション等共同住宅で発生しています。そのマンション等共同住宅の場合、侵入口は出入口の扉が53%、窓が44%です。さらに4階建て以上のマンションでは、6割が玄関の扉から入られています。
 犯罪者が犯行を実行するのは、犯行をうまくできるチャンス、環境がある場合です。ですから防犯というのは犯行のチャンスの芽を摘むことが大切です。
 具体的な防犯対策としては、ソフト面とハード面の両方に目を向けていただく必要があります。ソフト面は、まず個人がしっかり防犯意識をもち、戸締まりを励行すること、そして挨拶など声かけを実践することです。犯人に犯行をあきらめた理由を聞くと、「ご近所の人に声をかけられたから」という答えが一番多いことからも声かけの大切さが分かります。次にマンションの管理区域を明確にする。例えばうちのマンションはここからですよと標識を立てる。また、掲示板などを活用して防犯に関する情報提供を行う。こうしたことが防犯対策につながります。
 ハード面では、お金のかかる部分ですが、補助錠(ワンドアツーロック)、窓の補助金具の取付や防犯フィルムの貼付、センサーライトの活用、防犯カメラの設置、防犯システムの導入などによって、抵抗性、監視性を高めていただきたい。マンションから犯罪が1件でも減ることを願っています。

滞納問題の解決に向けて

●滞納の予防策
 病気でもそうですが、滞納の対策としても予防が一番です。管理費等の自動引き落としはやっておくほうがいいと思います。たまたま通帳にはいってなかった、払いに行くのを忘れたといったことを防止できます。遅延損害金は、管理規約に定めておかなくても、民法の規定で、年5%がつきますが、管理規約にそこをきちんと書いておく方がよいでしょう。あるいは警告的な意味で、10%と高めにしておくことも考えてもいいかと思います。
●滞納状況の把握と対応のマニュアル化
 滞納状況を把握できるように会計処理をしておられると思います。1か月遅れたらどうするのか、2か月遅れたらどうするのか、それを理事会の皆さんで話し合うことになるのですが、そういう場合にマニュアルがあると便利です。また、管理会社との役割分担もきちんと決めておいたほうがいいですね。一般的には1か月遅れとかだと管理人さんが声をかけると思いますが、管理会社が全部やってくれるわけではない。裁判は管理会社ではできません。法的手続きを取るとなると理事長さんが代表者になります。
●滞納が発生した場合の対応策
 常識的に考えて、緩やかな方法から徐々に厳しい方法にいくのが一般的と思います。(1)電話による請求、(2)文書による請求、(3)個別訪問、(4)念書の作成の順に対応することが考えられますが、必ずしもこの順番でなくても、皆さんで話し合われたらいいと思います。ちょっと1回遅れているなという時に、まずは電話をすることになると思います。文書による請求は、一般的には通知文にして投函したり、普通郵便で送りますが、場合によっては配達証明付の内容証明郵便を利用されるのが効果的な場合もあります。また、管理費の場合は5年で時効が完成して請求できなくなりますが、念書を書いてもらうと時効が中断されます。
●法的措置
 以上の対応策をとっても駄目であれば、支払督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停等の法的措置をとらざるを得ません。どの手続きをとるかは一長一短で、弁護士や司法書士などの法律家に相談されるといいと思います。法的措置をとると、例えば裁判だと、最終的には判決が出て、強制執行ができます。ただし経済的事情で払えない方にそういう手続きをとっても回収できるとは限りません。費用もかかりますし、手間も結構なものです。その場合はコストと利益も考えなければいけません。

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