セミナー情報

マンションらいふあっぷ基礎講座

7月25日
資産価値を下げない管理方法や、改正された標準管理規約のポイントなどをテーマに開催しました。
講座3 管理次第で大きく変わるマンションの資産価値
 皆さん方のマンションと競合関係にある新築マンションが大量供給される昨今、いかにして資産価値の目減りを防ぐかが今日のテーマです。マンションの価格形成要因は、接近性、緑被率、建物のグレード、設備機能、地域の知名度、希少性、これに中古マンション特有の価格形成要因として、築年数、管理の2点が加えられます。資産価値の目減りを防ぐためには、競合関係にある他のマンションに打ち勝たねばなりません。少なくとも負けない程度にもっていかねばなりません。それはひとえに管理組合の皆さんの双肩にかかっています。
 どういう管理がいいのかということで、ハード面からみてみましょう。総戸数に対して、駐車スペースは十分でしょうか。皆さん方のマンションに不法駐車はありませんか。玄関アプローチは、バリアフリーの配慮がされていますか。それとセキュリティ対策をしておられますか。こうした点を十分考えて対策を講じていただきたいと思います。
 次にソフト面ですが、住民の方に「ローンと管理費さえ払えば、あとは理事の皆さんがきちんとやってくれるから、それでいい」という依存心はありませんか。この意識改革をしないといけません。また、車検代は「かかる」と考えているのに、修繕費に対して「取られる」という言い方をする。皆さんの財産ですから、経費として「かかる」という意識をもたねばなりません。
 また、管理費を安くするために、管理会社を変える、あるいは自主管理をする。これらも一つの方法ですが、管理水準とかボランティアの問題を含めてよく考える必要があります。
 また、皆さんのマンションには、いろいろな方が住んでおられます。そこで理事経験者の方の懇談会や、建築士など在住専門家の委員会を組織することも考えられます。さらに、修繕計画の開示やペット飼育のルールの明確化なども大切な要素です。
 中古マンションの購入者の選択は、今後より一層厳しいものになります。単に購入住戸のみならず、マンション全体がきちんと維持管理され、その管理情報が確実に手にはいるかどうかが重要になることは間違いありません。中古購入者だけでなく、継続居住者も含めて安心して住めるマンションであることが、資産価値の目減りを防ぐ基本だと思います。

講座4 マンション標準管理規約改正とその対応方法について
 管理規約は、管理組合の最も根本的なルールを定めたものとして大変重要です。国で言えば「憲法」のようなものです。平成16年1月、国土交通省が、従来の「中高層共同住宅標準管理規約」を改正し、「マンション標準管理規約」を公表しました。これは、マンション管理に関する新しい法律や法改正が行われたこと、さらにマンションを取り巻く情勢が様々な面で変化したことをうけて改正されたものです。
●専門知識を有する者の活用
 適正化法の規定を踏まえ、「管理組合は、マンション管理士その他、マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対して、管理組合の運営その他マンション管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」とし、従来より専門家の活用をしやすくしました。
●建替えに関する規定の整備
 より建替え決議を行いやすいように、区分所有法の改正(「過分の費用」要件の削除)が行われたことを受け、建替えに係る合意形成に必要な調査を管理組合の業務に加え、その費用を修繕積立金から取り崩すことができることとしました。
●決議要件や電子化に関する規定の整備
 共用部分の変更について、その形状または効用の著しい変更を伴わないものは、普通決議(出席組合員の議決権の過半数)で足りるとされました。また、電磁的記録による議事録作成や電磁的方法による決議も可能になりました。
●新しい管理組合業務の追加
 修繕等の履歴情報の整理及び管理や、地域コミュニティに配慮した居住者間コミュニティ形成も、管理組合の業務として規定されました。
●未納管理費の請求に関する規定の充実
 滞納問題に適時適切に対応できるように、未納の管理費等の請求に関しては、理事会決議により、理事長が、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる旨などを規定しました。
この他も、環境問題、防犯問題への対応の充実を図るための改正など、多くの改正がなされています。ぜひ一度目を通してください。
今回の改正に対する対応方法としては、まず自分たちの管理規約と標準管理規約を読み比べ、どこがどう違うかを認識してもらうこと。その上で、自分たちの管理規約の中で改正すべき点があれば、皆さんで相談していただく、ということになろうかと思います。

ミニ講座2 マンションの防犯対策について 安全なまちづくり条例を制定。コミュニティによる防犯を! 講師 大阪府警察本部
   生活安全総務課
 全国の過去58年間の犯罪発生の推移をみれば、平成14年が過去最悪です。大阪は平成13年が過去最悪で、刑法犯認知件数が全国ワースト1。また、マンションへの侵入盗の発生が平成8年ぐらいから急増しています。こうした犯罪情勢を受けまして、安全なまちづくりに向けた動きが始まり、平成14年4月に大阪府に「安全なまちづくり条例」ができました。大きな柱が5つありますが、その中のひとつが、犯罪の防止に配慮した共同住宅等の普及です。侵入盗の発生が、一戸建てに比べてマンションで多くなっています。ですからマンションを作る段階から、泥棒に強い、犯罪に配慮した建物にすることが大切です。
 同時に、管理対策もしっかりやっていただきたい。侵入盗の防犯対策としては、見通しを確保することが基本です。そして見えないところも防犯カメラや人感センサーライトなどを設置します。その他にさまざまな防犯性能の高い建物部品が開発されていますが、実は一番簡単にできる防犯は、コミュニティによる防犯です。挨拶に勝るものはありません。住まわれる方の心がけで犯罪は減っていきます。ニューヨークがいい例で、犯罪が減少しました。大阪でも犯罪を減らしていきたいものです。  ※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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