セミナー情報

マンションらいふあっぷ基礎講座


マンション管理組合会計に関する管理組合と税金や管理組合の法人化をテーマとした講座を開催しました。

 マンション管理組合は、人格のない社団等(法人として登記していない)と、公益法人等(管理組合法人として登記したもの)2つが考えられますが、ほとんどの管理組合は登記されていないので前者に該当します。ただ税務上では、法人格がなくとも収益事業に該当すれば課税対象になるという解釈です。以下、具体的事例で説明します。

  1. 管理組合の会費と駐車場収入
    非課税。居住者以外に貸した駐車場収入でも経費(減価償却費) を引いてゼロになれば、税金を払う必要はない。
  2. 管理費等の余剰金の運用利益 非課税。
  3. 会議室、集会室の貸付
    一時貸付は非課税。組合員以外の人に時間貸ししたり、時間を限って組合員外の人や会社等に継続して貸した場合は、席貸業、不動産貸付業として収益事業に該当。その利益には課税される。
  4. カルチャー教室の運営
    法律で指定している技芸教授業(22事業)以外なら非課税。パソコン教室は法律にないので非課税。また俳句や短歌、川柳教室なども非課税。
  5. バザー等の物品販売
    年に1〜2回程度開催するものは非課税だが、洋裁や和裁など技芸教授に伴った作品の販売は収益事業とし、課税対象に。
  6. コンサート等の開催
    チャリティコンサート以外は、入場料を取って利益を出した場合は課税される。事前に税務署長の承認を受ければ、わずかな入場料であれば収益事業としないものとして取り扱われる。

 この他に、レクリエーション開催や出店による収入も組合員を対象にし、継続性がなければ非課税ですが、自動販売機の設置による収入や携帯電話の中継基地用のアンテナ設置料による収入は収益事業と見なされ、課税されます。 要は、収益事業に該当しないポイントは、@組合員のみを対象にしているA会費やお金を徴収しても利益が発生しないことB催しものは継続的でないこと  などです。ただ、収益事業か否かの判断がしにくい場合は、あらかじめ税務署の法人課税第一部門に聞いておくことです。 最後に、マンション管理会計のポイントは、@通帳の残高証明を取り、実際の残高と帳簿の残高を必ず複数の役員で確認しておくA大規模修繕等は数社から合見積もりを取るB資金の運用は、リスクの少ないもの、元本の保証のあるものにする。例えば国債や定期預金などに分散化してペイオフに備える−の3点で、これさえクリアーしておけば安心です。


ミニ講座3 管理組合の法人化について
法人登記をすることで社会的信用が増し
建替え事業も円滑に運ぶメリットが

講師 永野 倫子(ながの みちこ)
大阪司法書士会 常任理事
 管理組合は、法的には“権利能力なき社団法人”です。つまり、団体組織であること、多数決で決定、構成員の変更に関わらず団体が存続、代表者や組合運営、財産管理等、団体としての主要な点が確定−の4つの要件を備えています。ただ債務に関しては、一般的に社団は有限責任(組織の資産を限度とし、構成員にかからない)ですが、管理組合では敷地権の割合に基づく組合員各自の無限責任になります。
 法人化した管理組合と、していない管理組合との大きな相違点は、前者は法的な登記がなされ、社会的な信用が得られることです。その最大のメリットは、大規模修繕工事等の資金の調達が必要な場合、一般的には、法人であれば金融機関からの融資が受けやすくなります。もう一つのメリットとして、法人として不動産の登記ができるということがあります。
 次に、法人化のデメリットがあるかというと、特にないと思います。法人化の手続きについては、主務官庁の認可、許可がいらず集会の決議で行います。登記も簡単にできます。理事の変更があった時に登記の変更が必要ですがデメリットというほどのものではないと思います。
 平成14年の区分所有法の改正により法人化の人数要件が撤廃されました。
 最後に、今後、増えてくると思われるマンションの建替えでも、法人格を持つ建替え組合が事業主体になることができるというマンション建替え円滑化法が平成14年6月にできています。事業の円滑化には重要なことです。 ※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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