Q&A

専用使用権とは?

マンションの敷地や建物には「専有」「専用」「共有」「共用」の区別がありますが、今回はその中の「専用使用権」についてお話します。

Q
専用使用権とはどのようなことでしょうか?
A
共有敷地・共用部分の一部を特定の区分所有者が独占的に使用できる権利が、「専用使用権」です。
 たとえば、
1.共用部分とされているバルコニーやルーフバルコニーを そこに接続する住戸の居住者が独占的に利用するケース
2.共有敷地の駐車場や一階住戸の庭などを利用するケースなどに発生します。
1や2についてはあくまでも共有部分であるため、その利用については制限がつくことになり、有料となるケースが多いようです。マンションの維持管理をスムーズに行うために、専用使用権を認めた箇所については、管理規約で明記しておくことが望ましいでしょう。

<解説>
●専用使用権そのものに問題があるわけではありませんが、共有敷地の駐車場にこの権利を設定して分譲しているマンションでは、さまざまなトラブルが生じています。そこで建設省(現国土交通省)は昭和54年、「分譲業者が共有敷地等に専用使用権を設定してその使用料を得る等の例は、現在少なくなっているが、取引の形態としては好ましくないので、原則として、このような方法は避けること。」という通達を出しました。
●平成9年に改正された標準管理規約でも、バルコニーなどについては専用使用権を明記する(規約14条1項)一方で、駐車場についてはこの表現自体を取りやめています。
バルコニー等の専用使用権について標準管理規約では、次の様に明記されています。
第14条
区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において「バルコニー等」という)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承諾する。
2
一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。
3
区分所有者から専有部分の貸与を受けた者は、その区分所有者が専用使用権を有しているバルコニー等を使用することができる。
別表第4


《コメント》
1
バルコニー等については、専有部分と一体として取扱うのが妥当であるため、専用使用権について定めたものである。
2
工作物設置の禁止、外観変更の禁止等は、使用細則で物件ごとに言及するものとする。
3
バルコニー及び屋上テラスがすべての住戸に付属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。