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管理組合の法人化について

管理組合の法人化について 大阪司法書士会

 管理組合の法人化の制度は、法人設立の手続きによって新しく団体の実体を形成するというものではなく、既存の管理組合がその同一性を失うことなく法人格を取得するというものです。(区分所有法(以下「法」という)47条5項参照)
そのため、法人となるための手続も、他の法人設立の場合に比べて、簡単なものになっています。

管理組合が法人となるには

1.区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で、法人となる旨並びに法人としての名称及び事務所を定めることが必要です。(法47条1項)
(なお、平成14年法改正前は、区分所有者の数が30人以上の管理組合にだけ法人化が認められていましたが、改正により人数要件が撤廃されました。)
 名称中には、「管理組合法人」という文字を用いなければなりません。(法48条1項)なお、管理組合法人でないものは、その名称中に管理組合法人という文字を用いてはならず(法48条2項)、これに違反したときは、10万円以下の過料に処せられます。(法72条)
 管理組合法人には、理事及び監事を置かなければなりません(法49条1項、50条1項)から、同じ集会でこれを選任することが適当です。ただし、その選任は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議をもってすることができます。
 なお、必要があるときは、規約又は集会の決議によって管理組合法人を代表すべき理事を定め、又は数人の理事が共同して管理組合法人を代表すべきことを定めることができますし、規約の定めに基づき理事の互選によって管理組合法人を代表すべき理事を定めることとすることができます。(法49条4項)
 法人となるに当たり、法人としての規約を定めなければならないとはされていません。しかし、実務的には、それまでの規約について見直しをしたうえ、法人となる旨の決議と同時に法人としての規約を新たに定めるのが適当と思われます。

2.以上の手続きを終えた後、主たる事務所の所在地で法人設立の登記をすることにより、法人格を取得します。(法47条1項)
 法人となるについて行政庁の許可や認可は不要ですし、この法人に対する行政上の監督もありません。

管理組合の法人化のメリット
1.法律関係の明確化
 管理組合が法人化すれば、法人の活動によって生じた権利・義務はすべて法人に帰属することになるので、財産に関する法律関係が明確になります。
 財産が不動産である場合には、法人名義で不動産を登記することができます。
2.取引の安全の確保
 法人の場合には、法律上当然に代表権を有する理事がいるので、理事と契約することで、法人を相手に取引をしたことになるので、取引の安全が確保されます。
3.団体財産と個人財産の区別
 管理組合法人固有の財産と区分所有者個人の財産とが、明確に区別されることになります。ただし、財産自体は区別されるのですが、法53条により管理組合法人の債務については、区分所有者も自己の財産をもって責任を負わなければならないものとされているので、そのメリットはあまり大きいものとはいえません。


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