ペット共生マンション需要はペットとの共生を望む人の増加を背景としており、その増加の背景にはペット共生社会の進展や住環境の変化などが挙げられます。
女性の社会進出や共働き世帯が一般化するとともに、核家族化や少子・高齢化社会の進展等により、寂しさやストレスを子供や高齢者のみならず、多くの人が感じるようになってきています。
そうした状況の下、ペットに「癒し」や「安らぎ」を求める人、ペットを「家族の一員」と捉える人などが増加しており、ペットの存在が各人に身近なものとなり、ペットと共に暮らす生き方が認知され、ペットと共に豊かな暮らしができるような社会(ペット共生社会)が浸透しつつあります。
また、住環境の変化として、ペットを室内で飼える居住スペースの拡大、住まいが畳からフローリング等へと代わり、ペットを室内で飼いやすくなったことなどが挙げられるでしょう。
2.需給動向
ペット共生マンションの潜在需要は、ペットとの共生を望む人の増加を背景としていますが、ペットの飼育状況等の統計データを踏まえると、全体的にはペットの飼育数及び率はますます増加傾向にあります。現在ペット飼育不可である共同住宅の比率が高い都市部において、今後ますますペット共生マンションの供給は増えていくものと思われます。
新築時からペットと共に快適に暮らすための設備(専有部分〜ペット対応床材、ペット対応クロス、感電防止のためのハイポジションコンセント等・共用部分〜足洗い場、グルーミングルーム、一時的につなぎ止めておくリードフック等)が付いたペット共生マンションはここ数年徐々に増えてきているようです。一方、ペット飼育を禁止してきた既存のマンションで、住民が話し合って管理規約を改正し、ペット飼育を解禁するといった動きも出てきてはいますが、まだごく少数でしょう。やはり、管理規約の改正が難しいことと、管理会社がトラブルになることを避けるため、あまり積極的に対応してこなかったことが挙げられるかと思います。
3.共生のために
以上のとおりペット飼育需要の増加等を背景に、分譲マンションではペットと共に暮らす住宅として、ペットと共に暮らす仕組みに配慮したペット共生マンションの供給が増加していますが、そのための環境は必ずしも十分とは言い切れません。
ペットとの共生にあたっては、ペット対応設備等のハード面での対応のほか、飼育ルールの遵守といったソフト面の対応、居住者同士もしくは近隣住民等とのトラブル対応・再発防止等のため、管理面の充実が重要であることは言うまでもありません。
(社)大阪府不動産鑑定士協会
http://www.rea-osaka.or.jp/
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