管理組合だより

NO.15 北区・扇町コーポ管理組合

違反自転車ゼロのピロティ。
美観維持に積極的に取り組む。

JR天満橋駅から南へ徒歩5分の市街地にある扇町コーポを訪れて、誰しも驚くのが、広いピロティに1台の自転車も見あ たらないことです。すっきりと気持ちが良いものですね。実はこれ、管理組合の理事の方々の努力の結晶ともいうべきもの。 成功談の中に他のマンションでも採用できる知恵とノウハウがぎっしりと詰まっています。

● 郵便受けの改修で痛感した管理組合運営の透明性確保の重要性

(写真) マンションの資産価値を下げないためには、美観の維持も大きな要素です。扇町コーポ管理組合がこの美観維持に積極的に取り組んだのが3〜4年前のこと。当時のメンバーが理事長の鳥山大樹さんと理事の方たちでした。手がけたのは、郵便受け、自転車、エレベーターの3つ。まず郵便受けの場合、割れたプレートやピンクチラシ防止用の貼紙などが景観を悪化。さらに郵便物の盗難があったこともあり、郵便受けの交換改修工事を実施。壁面から出ていたタイプから壁面と同じ面になるようにし、盗難防止と宅配便にも対応できるタイプに変えました。「しかし総会にかけずに進めて問題になりました。結局、臨時総会で事後承諾をいただきましたが、進め方の順序と透明性の確保の重要性を痛感しました」と鳥山さん。

● 駐輪機をスライド式に変え、有料制を導入

(写真) 次に手がけたのが駐輪問題でした。「きれいなピロティに無差別に自転車が置かれている。これは何とかしたいと思って自転車のプロジェクトチームを作りました」。ちょうど2段式の駐輪機が老朽化してきたのと、子どもや高齢者には使いにくかったので、この際、駐輪設備を変えようと、今の軽くて操作性の良いスライド式を採用。台数は、160台から144台に減りましたが、全体の戸数が81戸なので、1戸あたり2台弱の自転車が登録可能です。さらに鳥山さんたちは、この自転車を有料制にしました。料金は、年間で自転車が1200円〜3000円、バイク(400cc未満)で1万5000円〜3万円。この有料制の導入は、台数制限を図るのに効果があり、同時に、修繕積立金にも貢献しているそうです。

● ポスターや警告札を作り、マナー向上に取り組む

(写真) 同時に取り組んだのがマナー面です。登録自転車には認定シールを貼り、駐輪場以外には置かないルールを徹底。「扇町コーポ・駐輪マナー向上GUIDE」を作って各戸に配布した他、プロのデザイナーである鳥山さん自身が作成したポスターを駐輪場に貼り出しました。さらにユニークなのが、警告札を作成。違反自転車にくくり付けて注意を促しました。警告札の内容は、「シールを貼っていない自転車は撤去します」「あなたは違反駐車をしています」「無断駐輪です。1週間後に撤去処分します」……etc。「最初が肝心なので、スタートさせた日から1回で勝負しようと、朝からピロティに張りついて、違反自転車があればすぐに駐輪場に入れました。そのおかげで、ピロティから自転車の姿が見事に消えました」。

● 住民参加の公開プレゼンテーションを実施

(写真) そして3つ目はエレベーターでした。「エレベーターは快適環境の入口であり、社交場だと位置づけて、プロジェクトを発足させ、他のマンションのエレベーターを見に行ったり、業者の方に来てもらい、見積もりをとりました」。各社の提案内容が違い、見積額も40万円〜240万円の大きな開きがありました。そこで透明性を図るために、居住者の方にも集まってもらい、公開プレゼンテーションを実施。「堅牢性」「値段」「メンテ」などに分けて採点。こうした住民参加のもとに、傷の付かないセラミックタイル仕様の内装に決定。さらに防犯のためにエレベーター内にカメラを設置しました。
  「理事の方が友達の不動産業者の方に、改良した3つの中で資産価値維持に貢献しているのは何か?と聞いたそうです。すると“自転車の整理だ”との返事。きちんと管理されているマンションだと高く評価されるそうです。その意味では、みんなでアイデアを出し合い、実行したことが報われた気がして嬉しかったですね」。
マンション概要 所在地:大阪市北区与力町
建築年 昭和62年(築年数18年) 構造・規模 SRC造15階建
棟数・戸数 1棟・81戸(その他、0戸) 戸当り専有面積 67.62〜88.46平方m/戸
駐車場台数 34台 駐輪場台数 144台
付属施設 集会室、管理員室 付属設備 監視カメラ
役員体制
役員任期 2年 役員数 14人
選出方法 輪番制 理事会 1回/月
総会 1回/年 各種委員会の設置 無(大きな案件時に設置)