”滞納”管理費・修繕積立金の督促・回収方法は?
- Q
- 管理費や修繕積立金を滞納している方への督促手順を教えてください。
- A
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まずは管理委託契約にしたがって、管理会社が口頭やハガキなどによる督促を行います。それでも滞納金を支払わない場合は、管理組合役員が滞納者に滞納理由や支払い意思の確認を行います。支払う意思はあるが支払えない場合は、分割払いなどを協議する。支払い意思がない場合は、一般的に以下の手順で督促・回収を行うことになります。
1.管理組合の名前で内容証明郵便を発送する
これは「管理費等を支払いなさい」という催告を意味するもの。文書の作成は、管理会社に依頼してもいいでしょう。切手代は、1,000円強ぐらい。理事長の名前はあえて出す必要はありません。
2.代理人の弁護士名で内容証明郵便を発送する
1でダメなら、弁護士に依頼することになります。この段階で回収が可能になるケースはかなり多いようです。弁護士に依頼した場合の内容証明郵便1通の発送手数料は、報酬基準では5万円が基本です。(実際は、請求する額に応じて増減されます。)ただし滞納者が支払いに応じず、弁護士との間で交渉が始まると、追加費用が発生します。この費用については、あらかじめ管理組合として、よく話し合っておくことが大切です。
3.簡易裁判所に支払い督促の申し立てをする
申し立ては、滞納者の重処置を管轄する簡易裁判所で行います。このメリットは、裁判所に納める印紙代が低額(3,000円くらい)であることと、書類も弁護士に依頼しなくても、窓口の指示に従えば簡単に作成することができることです。一方デメリットは、債務者からも簡単に異義が出せること。異義が出されれば、その簡易裁判所に訴訟を提起しなければ、それ以上事態は進展しません。
4.簡易裁判所で少額訴訟を起こす
60万円以下の金額であれば、簡易裁判所で即日判決の手続きが取れるこの方法の方が3より有効とも言えます。諸状は、簡易裁判所の窓口にある定型用紙に書き込むだけで簡単に作成できます。その後、審理の期日に理事長と、証人となる管理会社の担当者か会計担当の理事が出頭すると、原則として判決が即日言い渡されます。ただし、滞納者が最初の期日において弁論をするまでに、通常の訴訟に移ることを求めた場合は、通常の訴訟に移ることになります。
5.通常の訴訟を起こす
少額訴訟が適用されないときは、通常の訴訟の手続きに入ります。これに関しては、弁護士に依頼するほうがよいでしょう。
●請求訴訟を起こすには、管理組合の総会で相手方を特定した議案を事前にはかって、区分所有者および議決権の各1/2以上の賛成による決議をとっておきましょう。特に管理規約に理事会による訴訟提起の手続きを規定していない場合は、この手順を踏まえていないと後々のトラブルにもなりかねません。
●同じマンションに住む者同士でもあり、滞納の督促はしづらいものですが、回収を先送りし、既成事実化させないことが何よりも大切です。滞納額がかさんでくると回収がますますむずかしくなるし、もともとの支払い時期から5年が経つと、滞納管理費は時効となるのが一般的だからです。(民法167条)