Q&A

3. 税金上の問題点

法人税の納税義務者ですが、収益事業についてのみ課税されます

 マンションの管理組合は税法上「内国法人」である「人格のない社団」として法人税の納税義務者となります。ただし、人格のない社団についてはすべての事業に課税されるのではなく、収益事業についてのみ課税されることになります。また、管理組合が法人であった場合にも、公益法人等として法人税の納税義務者となり、収益事業についてのみ課税されます。収益事業とは33種類の決められた事業で継続して事業場を設けて営まれるものをいい、たとえば、共益費や組合費を集めて必要な事業を行うことは単に共通の費用を組合員が分担して負担することにすぎないため、非収益事業となり、法人税は課税されません。

1.管理員住宅を売却する場合

 管理員住宅を売却する準備として所有権の保存登記がされますが、区分所有者全員の共有とした場合には、その売却については、管理組合又は管理組合法人が申告納付するのではなく、各区分所有者がその持分に応じて土地・建物の譲渡所得の計算を行い、所得税の確定申告納付の要不要を判断することになります。また、管理組合法人の所有として売却した場合には、管理組合法人が各区分所有者から土地・建物の寄付を受けて売却したのと同じであり、売却代金と同額が課税所得となり法人税が課税されると考えられます。

2.管理員住宅を賃貸する場合

 管理員住宅を区分所有者以外の者に貸し付けて賃貸料収入を得る場合には、上述した収益事業となり、管理組合又は管理組合法人で法人税の申告納付が必要となります。この場合には、収益事業に係る収支、資産及び負債と収益事業以外の事業に係る収支、資産及び負債とを区分して経理し、収益事業に係る所得金額を計算しなければなりません。
 また、消費税について、居住用として貸し付けた場合には非課税ですが、事業用として貸し付けた場合には課税取引となりますので、課税売上げの合計が一事業年度で1千万円を超える規模になる場合は、申告納税義務が生じます。

3.他の用途へ変更し区分所有者で使用する場合

 上記以外に、トランクルーム、来客用ゲストルーム、第2集会室として区分所有者に賃貸し使用料を取る場合は、非収益事業であり、課税の対象となりません。
 収益事業として課税の対象となり、法人税が課税される場合には、地方税(都道府県民税及び市町村民税)の法人税割も課税され、収益事業を行うことで均等割の納税義務も発生します。いずれにしても、課税関係はケースバイケースであり、実際に実行するにあたっては、税理士か所轄税務署に相談することをお勧めします。


税理士 前川武政