恒例となったセミナー&相談会は、今回はセミナーに続いてそれぞれの管理組合の経験と知恵を交換し合う、初の管理組合交流会が開催されました。
マンションにはいろいろな考え方、さまざまな年齢、最近では国籍の違う人など実にさまざまな方が住んでおられます。そういう人たちと人間関係を円滑にしていくためにはいろいろな問題があります。一つ間違うとトラブルになりますので、そうならないためにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。
管理組合と自治会との関係はおおむね三つのタイプに分かれると思います。一つ目は、管理組合と自治会がまったく別の組織になっていてそれぞれ別々の活動をされているタイプ。二つ目は、管理組合の中に自治会的な部門があるというタイプ。そして三つ目は、マンションには管理組合しかなくて、地域の自治会に個人単位で参加しているというタイプです。
マンションは一つの財産という側面もありますが、人間が生活する場でもあります。そこに住んでいて楽しい、ずっと住まい続けようと思うような住まいであることが大事なことだと思います。そのためには愛着を持つことです。
一戸建てと違ってたくさんの人が住んでいるからこそ可能となる活動があると思います。
昭和30年代から40年代の始めにかけて分譲マンションが出てきたのですが、このときにも住民組織、管理組合に管理を任せるスタイルが住宅公団や住宅供給公社のマンションには多かったようです。
「集住」という言葉がありますが、マンションの生活は昔の長屋と似た面があるのではないかと思います。長屋には壁一枚隔てて迷惑をかけないように注意しながら暮らすという生活習慣があった集合住宅です。そういう住み方は現代版の長屋というべきマンションでも同じで、お互いの生活を理解しながら、気を遣いながら住むことが必要です。
お互いの生活スタイルが分かっていれば、深夜の騒音でも許せるという側面があると思うのです。タクシーの運転手さんや看護婦さんだったら、深夜にしかお風呂に入ることができないかもしれません。お互いが分かり合えれば、受け止め方もずいぶんと違ったものになるのです。
自転車もマンションではよく問題になるところです。駐輪場の不足を共用自転車を持つことによって解決した事例があります。また、各家庭で不要になった本を集め、子供文庫として集会所に常備して貸し出しを行っているマンションもあります。
玄関の階段をスロープ化してバリアフリーを実現し、お年寄りにも、ベビーカーを押すお母さんにも喜ばれているマンションがあります。また、マンションで週一回、高齢者に対するデイサービスを行っているところもあります。めにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。
住民それぞれが自分のできるところでちょっとがんばる、面白いからもう少しやってみるということが大事だと思います。
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セミナーでは、光華女子大学の平田陽子助教授に、マンション管理のソフト面ともいうべきコミュニティ形成について「マンション管理とコミュニティ形成」と題して講演していただきました。
マンション管理の三つの側面
マンション管理を行うには三つの側面があります。その一つは維持管理(メンテナンス)、これは物の管理です。次に運営管理(マネージメント)があります。いろいろな問題について総会を開いて、マンションの管理方針を考え、決めていく仕事です。そして三つ目が生活管理、コミュニティライフ、コミュニティ形成の問題です。マンションにはいろいろな考え方、さまざまな年齢、最近では国籍の違う人など実にさまざまな方が住んでおられます。そういう人たちと人間関係を円滑にしていくためにはいろいろな問題があります。一つ間違うとトラブルになりますので、そうならないためにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。
管理組合と自治会
マンションには所有者が作る管理組合という組織と、賃貸者を含めた居住者が作る自治会という2つの組織があります。そこに住んでいる人たちが近隣関係・コミュニティをより良くしたり、生活が円滑に進んでいくようにいろいろなことに取り組んでいく組織、それが自治会です。管理組合と自治会との関係はおおむね三つのタイプに分かれると思います。一つ目は、管理組合と自治会がまったく別の組織になっていてそれぞれ別々の活動をされているタイプ。二つ目は、管理組合の中に自治会的な部門があるというタイプ。そして三つ目は、マンションには管理組合しかなくて、地域の自治会に個人単位で参加しているというタイプです。
マンションは一つの財産という側面もありますが、人間が生活する場でもあります。そこに住んでいて楽しい、ずっと住まい続けようと思うような住まいであることが大事なことだと思います。そのためには愛着を持つことです。
一戸建てと違ってたくさんの人が住んでいるからこそ可能となる活動があると思います。
自主管理が日本のスタイル
日本のマンションはヨーロッパに比べると、住民による自主管理という形態が多いように思います。ヨーロッパでは管理者がいて、その人が管理上の判断を下すのです。日本の集合住宅の歴史をみると、昭和30年頃に住宅公団が鉄筋コンクリート造の賃貸アパートを作り始めました。その管理を自治会に任せることになり、それが自主管理というスタイルを定着させるきっかけになったのではないかと思います。昭和30年代から40年代の始めにかけて分譲マンションが出てきたのですが、このときにも住民組織、管理組合に管理を任せるスタイルが住宅公団や住宅供給公社のマンションには多かったようです。
コミュニティの活性化が重要
わが国では高齢化が進んでおり、今後は共同住宅の活性化が問題になります。建物が古くなると同時に居住者の高齢化が進むのは自明のことですが、コミュニティを円滑にして、高齢者にとっても住みやすい空間を作っていくことが非常に大事なことになってくると考えています。「集住」という言葉がありますが、マンションの生活は昔の長屋と似た面があるのではないかと思います。長屋には壁一枚隔てて迷惑をかけないように注意しながら暮らすという生活習慣があった集合住宅です。そういう住み方は現代版の長屋というべきマンションでも同じで、お互いの生活を理解しながら、気を遣いながら住むことが必要です。
お互いの生活スタイルが分かっていれば、深夜の騒音でも許せるという側面があると思うのです。タクシーの運転手さんや看護婦さんだったら、深夜にしかお風呂に入ることができないかもしれません。お互いが分かり合えれば、受け止め方もずいぶんと違ったものになるのです。
コミュニティ形成の事例
たくさんの世帯があるマンションで快適に住むためには最低限のルール作りが必要です。大阪の南千里のマンションでは、ペットを飼いたいという人がペット委員会を作って自分たちでペットの飼い方のルールを作り、ペットを飼うことを認めてもらったという事例があります。自転車もマンションではよく問題になるところです。駐輪場の不足を共用自転車を持つことによって解決した事例があります。また、各家庭で不要になった本を集め、子供文庫として集会所に常備して貸し出しを行っているマンションもあります。
玄関の階段をスロープ化してバリアフリーを実現し、お年寄りにも、ベビーカーを押すお母さんにも喜ばれているマンションがあります。また、マンションで週一回、高齢者に対するデイサービスを行っているところもあります。めにコミュニティをうまく形成していくことが大事な仕事になります。
情報の共有化と知恵の交換
マンションでの生活を快適にするためには「情報の共有化」が欠かせません。管理組合新聞やニュースなどで、今何が問題になっているか、どんなことが話し合われているのかをこまめに知らせ、それが共通認識になっていれば、修繕などを行う際にもスムーズに進めることができます。また、さまざまな経験を管理組合間で交流する、「知恵の交換」も重要です。住民それぞれが自分のできるところでちょっとがんばる、面白いからもう少しやってみるということが大事だと思います。
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