セミナー情報

平成19年度「基礎講座&相談会」報告

11月25日
マンションで起こるトラブルの事例と対処法、役に立つ共用部分リフォーム融資とマンションすまい・る債、そして滞納管理費等への対策をテーマに開催しました。 トラブルの事例と対処法について

●日常生活の3大トラブルに対する対応法
 (社)高層住宅管理業協会では毎年アンケートをとっています。17年度のアンケートでは、ペットの問題、騒音の問題、不法駐車・不法駐輪の3つが日常生活で一番多いトラブルとなっています。
 トラブルの対応方法ですが、まず、管理組合の理事会などで対応ルートを把握して、体制づくりをしておくこと。それと逃げ腰にならずに、積極的に対応していく姿勢が必要です。そして迅速な対応と結果の報告も大事です。そしてトラブルの処理内容は柔軟性が必要です。当事者間でよく話し合って解決方法を探すこと。次に、理事会と管理会社に密に連絡をとっていると解決しやすいものです。さらに管理規約、使用細則、管理委託契約、区分所有法、マンション管理適正化法など、関連法規を理解しておくことが大切です。
●漏水トラブルの対処の仕方
 ハード面のトラブルで一番多いのが漏水の問題です。水栓関係の機器類には基本的に止水栓がありますから、給水の場合、給水口で不具合が起こっても、ここでしっかり止めておけば、水は流れません。部屋の中全体で配管がどこかで破れて水が出ている場合は、止水栓を止めても意味がありません。その場合は玄関にあるメーターボックスの中に水道メーターがあります。その横に必ずバルブがあります。そのバルブを止めてください。お部屋のほうに水は給水されません。そうすると、二次被害が非常に少なくて済みます。
 漏水の場合は保険があります。損害保険に入って二次被害に対しても保険で対処できるようにしておくことも必要です。漏水の見つけ方は、水栓を全部止めて、メーターを見てください。小さいパイロットランプがあります。これが動いている、あるいは1リットル指針が動いている場合は、微量に水が流れているということです。

共用部分リフォーム融資とマンションすまい・る債

 共有部分のリフォーム工事を行う時に、修繕積立金で不足する部分を補うのが、共用部分リフォーム融資です。管理組合様の名義でのお申し込みで、保証人は(財)マンション管理センターとなります。また、無担保で、融資額は、工事費の8割又は1戸あたり150万円まで、最長10年間の完全な固定金利です。さらに耐震改修工事を行う場合には、金利が0.2%優遇されます。
 一方、マンションすまい・る債は、修繕積立金の計画的な積立をサポートして、安全確実に管理・運用していただくため、私どもが国の認可を受けて発行する管理組合様向けの債券です。当機構の資産から優先的に弁済されることが法律で定められており、その中で保全が図られています。毎年年1回、定期的に利息を受け取ることができます。中途解約は、購入から1年経過すれば可能で、利息は確定額で解約手数料はありません。また、債券は機構が無料で保管いたしますので、盗難・紛失の心配もいりません。ぜひ皆さまにご活用いただければと思います。

滞納管理費等への対策

●滞納の予防策
 まず一番の予防策として、忙しくて振り込めないとか、支払い忘れたとかの理由による滞納を防ぐには、口座引き落としにしておくことです。もう一つ予防策が、遅延損害金について定めておくことです。支払いが遅れた場合には遅延利息というのが付き、民法では5%付けられますが、管理規約でもっと高い率を定めても問題ありません。
 また、滞納が発生したときにすぐに対応できるようにするためには、滞納状況がリアルタイムに把握できるようにしておくことと、対応方法をマニュアル化しておくことが、大事なことだろうと思います。
●滞納が発生した場合
 次に滞納が発生した場合ですが、対応は段階的に強い方法にしていくのが普通です。早めに滞納者に連絡をして、電話で請求をする。その際に、どういった理由で遅れているのかを聞くことです。口頭で請求をしても支払いを得られないような場合、文書での請求が考えられます。まずは、新聞受けや郵便受けにポンと入れておく、次に郵便で送る。郵便も配達記録、内容証明郵便と段階を踏んでいくことが普通です。一度訪問してみるのもいいでしょう。お宅に行く場合には、極力複数で行くことをお勧めします。話し合いをした結果は、文章にしておくこと。具体的に滞納分について月々いくらの形で支払いますということで、念書をもらうことが必要です。
 それでも誠意ある対応がない場合、法的措置を考えます。支払い督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停の手続きをとるのかはケースバイケースかと思います。法的措置をとった後、裁判所で結論が出ているにもかかわらず、支払いをしない方には強制執行手続きをすることになります。預金を差し押さえたり、区分所有権を差し押さえて競売にかけることを考えることになります。

 ※(注)講座1〜6の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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