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平成22年度「マンション管理の基礎知識」基礎講座報告

  2010年度「基礎講座&相談会」報告  

開催日時:2010年11月6日(土)・13日(土)・20日(土)

11月6日(土)   11月6日に開催された設立10周年記念パネルディスカッションのテーマは「マンション管理を考える」。
これまで寄せられた相談の中から特に多かった事例について、マンション管理支援機構常任委員の専門家が様々な角度からディスカッションしました。

基調講演1 管理組合運営についての諸問題 [ソフト面の問題点]
管理組合運営についての諸問題 [ソフト面の問題点] 講師

滞納問題の予防にマニュアルづくりを
(講師)
大阪弁護士会
木野 達夫

区分所有者全体で構成される管理組合は、マンション管理の主体であるという意識が必要です。また管理組合では、始めに理事を選び、その中から理事長を選んで運営しますが、 区分所有者の総意が活かせる体制づくりが必要です。
管理規約はマンションの憲法のようなもので、強い効力を持ちます。 そのマンションにおけるルールが分かりやすく書かれていることが大切です。 管理規約の変更には全区分所有者の4分の3以上と議決権の4分の3以上の賛成が必要ですが、規約の精神に反していなければ、2分の1以上の賛成で成立する使用細則に定めることもできます。
「マナーの悪い区分所有者から違約金を取りたい」という相談がよく寄せられます。管理規約で規定されていればそれも可能ですが、どの程度で警告するか、強行措置を取るかは、 理事会や総会でよく話し合われたほうがいいと思います。悪質な区分所有者に対しては法的手段を取ることもできます。 管理費の滞納問題は予防が大事で、スムーズな督促活動をするためにも、1か月遅れたらこうする、2か月遅れたらこうするといったマニュアルの作成をお勧めします。
また、管理会社に対する不満もよく聞きますが、まず契約内容を確認しましょう。約束ごとが履行されていない場合は強く主張できます。管理組合と管理会社は契約関係であることを意識しておくことが重要です。

 

基調講演2 管理組合運営についての諸問題 [ハード面の問題点]
講師 長田 康夫(おさだ やすお)

情報発信と進捗状況の開示でトラブルを回避
(講師)
社団法人 大阪府建築士会
西野 宏

  大規模修繕の流れに沿ってポイントをお話しします。
まず、建物診断と居住者アンケートで建物の現状を把握します。修繕が必要かどうかは早く判断しなければ手遅れになりますので、的確に手を打つことが重要です。 次に、どの部分をどのように直すかを検討します。新しい建築技術や材料にシフトしていくこともマンションの評価を下げないために必要なことです。総会で工事の合意をとりますが、 意見を集約し合意を取ることは理事会の大きな役目です。
また、常に情報発信や進捗状況の開示を行っていれば、トラブルを回避することができます。工事予算を確認し、詳細な設計図を作ったら、公募の上、数社から見積りを取り、 技術力と経験の豊富な施工会社を選んでください。契約時にはコンサルタントに支払条件、工期、近隣の関係などを記載した現場説明事項を添付してもらいましょう。 工事内容、金額などは総会で決議し、資金の出し入れについてもきちんと決議してください。その後、住民説明会などの手順を踏んで工事に入ります。 「言った、言わない」と後でもめないためにも、施工側と施主側(管理組合)の進捗状況の打ち合わせの内容は、必ず文書化します。 一方、壁の内側など、事前調査で分からなかった部分に問題が発生することがあります。追加工事、追加金額が必要になるので、事前にコンサルタントや業者と相談し、 資金計画には余裕を持っておくことが必要です。また設備の入れ替えが必要となるおよそ25年目以降の修繕では多額の費用が必要となりますので、計画的な修繕計画が重要となります。
パネル
ディスカッション 管理組合の主体的な管理で資産価値も向上

【参加者】
〈コーディネーター〉
川畑 雅一氏(社団法人大阪府建築士会)

〈パネリスト〉
木野 達夫氏(大阪弁護士会)
西野 宏氏(社団法人大阪府建築士会)
沖 健補氏(大阪司法書士会)
笠井 靖彦氏(社団法人大阪府不動産鑑定士協会)
和田 淸人氏(大阪土地家屋調査士会)
吉岡 哲史氏(近畿税理士会)
清水 明氏(独立行政法人住宅金融支援機構まちづくり推進部)

講師 長田 康夫(おさだ やすお)
  ●「公正」「透明」な管理組合運営と滞納対応のマニュアル化
川畑マンション管理の諸問題について、ソフト面とハード面から、パネリストの皆さんにお話しいただきたいと思います。 まず、ソフト面について、マンションの理事長も経験されたことのある和田さん、お願いします。
和田私が理事長の時に心がけたことは、「私自身も区分所有者のひとり」ということです。また、「理事会が勝手に決めた」と言われないために「公正」「透明」をキーワードにしました。 私のマンションでは不法駐車の常習者に警告の紙を貼ったら逆にこちらが怒られたことがありました。しかし、私の代で決着をつけようと覚悟し、管理規約や駐車場使用細則のコピー、 本人が印を押した管理規約の同意書、区分所有法のコピーを添えて、「駐車をやめなければ不本意ながら法的な手段をとらざるをえません」ということを書いて投函したところ、解決しました。 区分所有者には、自分の財産を守るためにもっと管理に関心をもっていただきたい。それを継続的に発信するのが理事長の役割と考えています。
木野すばらしい心がけですね。理事や理事長に対する不満は、見えていないところで勝手にやっている、と思われるのが原因でしょう。 総会で決めるべきことを理事会で決めることは法に反しているので、重要事項は理事会で決めてしまわないよう、注意したほうがいいですね。迷うときは「原則として総会で決める」という運営が大事だと思います。
管理組合の資金管理の面ですが、「修繕はしたいがお金が足りない」という話をよく聞きます。築年数の古い、また大規模なマンションの多くは資金を持っていますが、 心配なのは新築分譲で、売る時に管理費と積立金の設定を低くしている業者がいることです。将来、修繕費が足りなくならないよう、資金計画は計画的に行ってほしいですね。
川畑資金に関して専門の立場である吉岡さん、資金を管理、運用する点で留意することはどのようなことでしょう。
吉岡管理費や特別修繕費等には消滅時効がありますから、1か月でも滞納がある場合は厳しく対応して、滞納がないよう心がけることが大事です。 管理費等の保管は信用できる金融機関を探し、1社だけでなく分散して防衛策をとっていただければと思います。共有部分についての火災保険や地震保険、 マンション総合保険といった保険に当てるのも資産運用のひとつです。住宅金融支援機構さんで扱っているマンションすまい・る債は金利もつきます。綿密に計画を立てても、 修繕費が足りない場合は管理組合向けのローンもあるということを知ってほしいですね。 清水すまい・る債は、修繕積立金を安全に積み立てていただくために、平成12年より発行しています。評価していただいている最大のポイントは安全性です。 現在(平成22年度募集分)は、10年満期まで預けた場合の利回りが0.563%。大口定期のプラス0.1%くらいです。分散化は一般的に必要だと思うので、一考いただければと思います。 全国の管理組合の1割くらいが利用されています。
川畑修繕積立金は滞納という問題があります。弁護士としてのご意見を伺いたいと思います。
木野滞納は予防が大事です。1か月遅れたら手紙を入れる、2か月遅れたら理事が複数で訪問する、3か月目はこうする、 というマニュアルを明確に作っておくと躊躇せずに行動に移せます。様子を見ようか、と言っている間に、気がついたら1年となってしまいます。法的手続きは何種類かあり、ひとつには調停があります。 裁判まではいかずに話し合い、裁判所から督促状を送ってもらう方法もあります。少額訴訟という簡易な訴訟も比較的使い勝手がいいのですが、判決が出ても回収は容易ではありません。 ですから、予防が大事なのです。また、管理組合と管理会社の役割分担を決めておくことが好ましいと思います。
和田理事会として大事なことは、区分所有者全員と管理会社に対して、滞納は絶対許さないという姿勢を発信することだと思います。私たちは管理会社に対して、 基幹事務は会計と出納と長期修繕計画の3つであり、お金のことを頼んでいるのだから滞納を何とかしてください、とお願いをして、結局2年くらいかけて大口と中口の滞納を全額回収してもらいました。 こういう姿勢を貫き通すことによって、管理会社が契約内容以上のことをやってくれた事例です。
笠井木野先生のマニュアル化に大賛成です。滞納には、「うっかり残高不足になってしまった」ものと、「ない袖は振れない」というものがあります。「ない袖は振れない」の場合は、 厳しい選択ではありますが競売の申し立てをするしかありません。競売で決着がついたら落札者から必ず、滞納分をいただいてください。本来の金額から滞納分の金額を引いた金額で売り出しをかけるので、 「引いてもらった分は返してください」と言えます。「ちょっと負けて」と言われるかもしれませんが、「裁判所は滞納分を引いているはず」と、管理組合は言うべきです。
ぜひ利用していただきたい機関をご紹介します。大阪市中央公会堂の近くにある弁護士会館の1階に、全国初の総合紛争解決センターができました。 ADR法に則ってできた調停機関です。これは非常に便利で、裁判外ですから気安く行くことができ、専門家が3人ついて相談に乗ります。
パネルディスカッション

●資産価値を高めるバリューアップ工事
川畑では次に、ハードの問題に移りたいと思います。住まい情報センターにも、大規模修繕について多くの相談が寄せられています。 大規模修繕と資産価値はどのような関係にあるのでしょうか。
笠井私は皆さんのマンションの価値を鑑定する立場です。中古マンションが新築マンションよりも高いということは、よほどのことがない限りほとんどないと思いますが、 しっかりした管理をしているマンションは値下がりが少ないと言えます。それは、適切な時期に適切な修繕を行った、あるいは適切な修繕を行いうるマンションです。そのためのキーワードは3つ。 (1)修繕積立金が積み上がっているか、(2)滞納はないか、(3)居住者の高齢化が進んでいないか、です。 特に、築年数が経過するとともに居住者が高齢化すると、年金生活者が増えます。年金生活者にとって一時負担金は負担しづらいものです。2回目、3回目の修繕にはお金がかかるということを念頭において、 綿密な修繕計画を立ててください。駐車場収入を修繕積立金にするというのもひとつの方法といえます。
西野大規模修繕では、「コンサルタントをどう探すか」という話が必ず出てきます。コンサルタントには、設計を監理し、マンションについてアドバイスができる、 経験を積んだ方が適切だと思います。探す方法は、公募をする、知人にコンサルタントがいれば検討する、周辺で大規模修繕をやっているマンションの管理組合に問い合わせる、の3つくらいです。 コンサルタントは、情報を集めて新しい建材や工事方法をマンション側に提供するという、非常に労力のいる仕事を行います。コンサルタントへの委託料の考え方はいろいろありますが、 一般的には工事費の7〜8%くらいと言われています。
川畑長期修繕というのは、現状を維持するに留まらず、マンションの価値をさらにアップするバリューアップのための資金計画も必要になってきますね。
清水私どもは昭和60年から共用部分リフォームの融資をしており、バリューアップ工事もあります。資産価値を高めるという観点に立った場合、IT化、耐震、 断熱などいろいろ要素はあると思います。それから共用部分の集会室、ごみ置き場、駐車場もそうですね。駐車場の例で言うと、最初は機械式駐車場だったが車の利用が減り、 メンテナンスの費用がかかるという場合があります。原状回復ではなく、メンテナンス費用がかからない自走式駐車場にするというのは、一歩踏み込んだ修繕だと思います。このように、 当初は予想していなかったことが必要になることもあると思います。急なことで積み立てがない時、ひとつの方法として「借り入れを活用しては」というのが私どもの提案です。
川畑マンション管理には様々な問題がありますが、主体はあくまでも管理組合であるという意識が必要であると思います。ディスカッションの内容が、 皆様の問題解決のヒントになれば幸いです。本日はありがとうございました。

11月13日(土)  

講座1 犯罪被害にあいにくいマンション

犯罪防止の4原則「光・目・時間・音」 (講師)
NPO法人大阪府防犯設備士協会
副理事長 清水 啓介

大阪府下における平成21年度の住宅対象侵入窃盗(空き巣・忍込み・居空き)の発生件数は5838件。1日換算にして約16件もの窃盗事件が発生しており、全国ワースト3位になります。 そのうち空き巣が4626件を占め、空き巣だけで被害総額は約28億円にも及びます。発生場所は、戸建てが56%、中高層住宅が26%。侵入方法と侵入場所については、戸建ての場合はガラス破り、 戸締まり忘れが多いのに対して、マンションの場合は大半が玄関の鍵を開けて入るという方法です。さらにどの住戸も同じ種類の鍵であるため、開ける手順が分かると横並びの侵入が可能となり、 被害が大きくなってしまいます。またマンション1階のバルコニー側は、施錠されていても足がかりがあったり、植栽などで死角ができたりします。 最上階であっても、屋上への通路が施錠されていないと屋上からバルコニーに侵入されるおそれがあります。
 犯罪防止には「光・目・時間・音」の4原則があります。具体的には、ライトで照らす、防犯カメラで監視する、防犯建物部品によって侵入しにくくする、 セキュリティシステムで警報音を鳴らすといったこと。なかでも5分以上かかると、7割の侵入犯があきらめるというデータがあり、侵入しにくいドア構造、建物構造がいかに大事かが分かります。
 防犯対策として、ハード面では、まずしっかり戸締まりをすること。次に補助錠やピッキングに強い鍵などの防犯建物部品、テレビドアホンなどの防犯システムを導入すること。 「侵入に5分以上耐え得る」ことを認定されたCPマーク付の建物部品もおすすめです。ソフト面では、近所での声かけ運動、見回りが有効です。
 最後に防犯モデルマンション登録制度について。大阪府防犯協会連合会認定の一級建築士と防犯設備士の審査により、犯罪にあいにくい構造、設備の基準を満たしていると認められるマンションを登録する制度であり、 是正すべき点のアドバイスも行っています。また大阪府防犯設備士協会が無料の防犯診断を実施しています。
講座2 管理規約の解釈、改正等について

トラブルを起こさないために きっちり決めて、しっかり伝える。 (講師)
大阪市立住まい情報センター
マンション管理相談員 宇都宮 忠

分譲マンションでは隣人同士が気持ちよく生活するためには、役員選出、ペット問題、駐輪場問題などについて管理規約や細則に定められたルールを守っていただく必要があります。 国土交通省からは標準管理規約が示されていますが、役員資格の見直しなどが近々行われる予定となっています。
現時点で、役員資格は、「現にそのマンションに居住している組合員」に限定されています。組合員の配偶者や賃借人は当てはまりません。建て替え推進決議をめぐって役員資格に関する訴訟が起きている例もあり、 注意が必要です。
しかし、組合員は仕事で参加できず、理事会に出席するのは配偶者という実状も多々あります。そこで、できるだけ居住組合員が役員になることを大前提に、 規約の変更によって役員の資格拡大を図るという方法もあります。平成20年の国土交通省の調査では、拡大範囲は同居配偶者や親族まで、同居の親族は成年に達した一親等までとしているところがほとんど。 役員任期は1年か2年の輪番制で、規約の但し書きによって留任を認めているケースが多いようですが、歯止めは必要と考えられます。
次にペット問題。ペットは生き物であり、簡単に解決できない問題です。最近の新築マンションではペットOKのところも増えてきていますが、勝手な飼育方法では他の住民に迷惑がかかりますし、 実際のところ苦情が出ているケースも多いようです。飼ってはいけないにしろ飼っても良いにしろ、きちんとしたルールを作り、それを守ってもらうことが重要です。ルールとしては、 (1)飼育禁止、(2)一代限りにつき承認、(3)登録などの一定条件に限って認めるという3つがあり、アンケート等で住民全体の考えを把握したうえで検討を進め、 掲示板や広報誌を利用して日頃から飼育のルールを周知しておくことが大事です。
最後に駐輪場と駐車場問題です。どのマンションでも家族が増えると自転車も増える傾向にあり、通行の邪魔になるといった問題が起きています。自転車置き場の利用料金を取っているマンションも多く、 有料にすることで一世帯あたりの台数が制限できるというメリットがあります。整備にあたっては自転車置き場の増設も考えられますが、共用自転車の活用も考えられます。
機械式立体駐車場は多くの維持管理費用がかかり、受益者負担を原則として、耐用年数からみた駐車場料金を一度検証してみる必要があるでしょう。

11月20日(土)  

講座1 マンションの資産を守るために

さまざまなリスクを想定し 情報を集めて対策を立てましょう。 (講師)
NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
溝部 理恵

 リスクを回避し、安全に生活を送っていただくために、マンション資産の守り方についてお話をします。
まず修繕積立金ですが、マンション管理組合理事長名で通帳をつくり、一つの銀行に多額の定期預金を預けておられる組合も少なくありません。 しかし、先日のペイオフ発動という事態になった場合には1000万円までしか弁済されません。一方当座預金等の決済性預金といわれるものは全額戻ってきますので、 両方を抱き合わせで持っておくことはひとつのリスク回避となります。分散することも大事です。1000万円以内を複数の銀行に預けておけば、怖れることもないわけですから。
では、リスクにはどんなものがあるのでしょう。まず倒産リスク。マンションの管理会社や建築設計事務所が倒産すると、あとあと面倒なことになります。資産を投資しているなら、 インフレや信用リスク。直接影響のあるものでは、災害リスクや建物劣化リスク。一番大変なのは滞納リスクで、将来の予定の変更を余儀なくされることも。 住環境の変化による市況変動リスクも考えておく必要があります。
マンションは個人の集まりで、いろいろな考え方をお持ちなので、まとめるのは大変な作業なのですが、こうしたリスクを納得してもらい、企業情報をつねにチェックして時には資産の保管場所を動かしたり、 万一に備えて損害保険を掛けたり、滞納者に法的措置を施す手続きを決めておいたりと、管理組合としてはさまざまな対策を講じていくことが大切なのです。
講座2 吹付アスベスト除去等補助制度

含有調査と対策工事の費用を大阪市が支援する制度です。 (講師)
大阪市計画調整局
建築指導部 黒川 寛浩

吹付けアスベストの有無を調べるには、まず建物の内外を見て、手で触ると崩れるようなものがあるかどうかを探し、あれば建物が建った時期や製品から確認してください。 一般的には耐火被覆材として、倉庫や駐車場、玄関扉横のメーターボックス、エレベーターシャフトやタワーパーキング内によく見られ、また、防音材・断熱材として機械室や電気室に使われていることもあります。 製品名などが分からなければ、専門機関による含有調査が必要です。その結果、アスベストがあると分かった場合には、除去、封じ込め、囲い込みといった対策工事が必要です。
大阪市では、露出した吹付け材等の含有調査や対策工事の費用を補助するアスベスト除去等補助制度を設けています。対象となるのは多数の方が利用する部位や共用部位、 メンテナンスで出入りする機械室・電気室で、調査は全額かつ上限金額(1試料あたり10万円、3試料以上25万円)まで、対策工事は3分の1かつ上限金額(戸建住宅20万円、 その他100万円)まで費用を補助します。補助には事前に現地確認が必要なのでご連絡ください。
講座3 築20年からの大規模修繕工事

100年持たせる強い思いで 長期計画を立てることが大切。 (講師)
社団法人大阪府建築士会
今井 俊夫

 2回目の大規模修繕工事をいまからやろう、でもどうしたらいいのか? そういう待ったなしの課題を持っている方も多いと思います。しかし、今日はわかりやすい内容で、できるだけ問題提起していこうと思います。
まず、2回目の大規模修繕工事で必要なことは、コミュニティを活用することと、少子化・高齢化への対応を踏まえた工事内容とすること。また今後20年、30年を見越した計画を立てることです。 おおまかなもので構わないので、建物維持管理に関して、築50年を見据えた、長期計画があるということが大切なのです。
実質的な修繕積立金は、一戸あたり月1万円は最低ライン。できれば駐車・駐輪場使用料、管理費余剰金繰り入れなども含め月1万3000円を確保します。 2回目の大規模修繕工事の費用は、1回目をきっちり行えば案外少なくてすみます。逆に1回目をなおざりに行えば2回目はかなり厳しくなります。長期修繕計画を踏まえて、 その範囲であわてずに、適切な修繕をやっていくということが重要なのです。
では、マンションはどのくらい持つのか。重要なのは「どれくらい持たせたいか」という意識です。たとえば、法隆寺は世界で一番古い木造の建物で、築後1300年以上経っています。 これは、棟梁が近くに住んで毎日見回って直す。50〜60年に1回、瓦の修繕をしたり、約400年ごとに解体修理という大規模修繕工事を繰り返す。斑鳩の人たちがこの寺を誇りに思い、 「持たせよう」としてきた結果です。同様に、マンションも、住んでいる人たちに建物を持たせる意志があり、適切な修繕をおこなえば、100年以上充分持つのではないかと、私は思っています。

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