11月1日(土)第1日目−1
講座1
マンション管理のトラブル事例
壁1枚隔てたお隣のあるマンションでは管理規約と自己規制が大切です。〈講師〉住まい情報センター マンション管理相談員 宇都宮 忠 (うつのみや ただし)
マンション総合調査におけるトラブル
ワースト5は、平成25年度で1.生活音
2.管理費等滞納 3.違法駐車 4.ペット飼育 5.水漏れ。この5つが、いろいろなトラブルになっています。
【トラブル事例1】
喫煙による迷惑行為
●上階の居住者が火のついたタバコを窓から捨てる。注意しても、していないと主張される。
◆対策……タバコを吸っている、下に投げ捨てている写真を撮り、目撃日時を記録する。相手に認めさせる証拠作りが必要です。ベランダは専用使用権のある共用部分で、「通常の用法に使う」とあり喫煙禁止は難しいが、平成24年の裁判事例では「不法行為が成立する」となりました。他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながらの喫煙継続は不法行為が成立する、ということです。
【トラブル事例2】
ペット飼育
(1)ペット禁止なのに飼っている。
(2)「1匹まで、50cm以下」なら飼育可能だが、複数飼いしている。
(3)飼育可能だが、犬の匂いで苦情があるので禁止にしたい。
→どう対応するか
◆対策……マンションは、ある程度生活に制約があるのはやむを得ないことです。裁判でもペットは、生きて行く上で
どうしても必要なものではないとの判断もあり、過去のペットに関する裁判で飼い主が勝った事例はありません。飼育OKでも飼う側が自主規制をするなどが必要です。
トラブルを防ぐ規約の方向性は①飼育禁止②一代限りOKとする③飼育OKの3つあるが理事会での方向を決める必要があります。①は非常に難しいです。②も同じ犬種なら犬が変わってもわかりません。③でもペットと飼い主の教育が必要です。
【トラブル事例3】
総会・理事会の出席
(1)総会に夫婦で出席、共に発言して進行を妨げる。
(2)ご主人が区分所有者、奥さんが他の区分所有者の委任状を持って出席。
(3)長期出張のご主人の代わりに妻が理事会に出席。
◆対策…(1)は議決権は1つ。夫婦共有でどちらも区分所有者なら出席はできますが、議決権は1つです。進行の妨げはしっかりした議長の采配で止めるようにします。理事長が議長を兼任することが多いですが、できれば別の人が望ましいでしょう。規約に規定がある場合は、規約を変更する必要もあります。
(2)は可能です。
(3)最高裁での判例で「理事の代理出席は、理事に事故がある場合に限定して認めるのは有効」とあり、妻はあくまでもピンチヒッターです。理事はできるだけ日程を調整していただきたいと思います。
【トラブル事例4】
管理費などの問題
(1)不在所有者から徴収する協力金の月額2500円と役員報酬が決まった。
→納得できない。
(2)不在所有者の協力金徴収が議決されそうだが納得できない。他の不在所有者に連絡したいので、名簿の閲覧を請求した。
◆対策……(1)は築33年868戸のマンションで賃貸が200戸。懸案事項が多く、役員は大変で不公平。協力金は当初の月額5000円を、和解勧告で2500円にした。平成22年の最高裁判決で「協力金の設定が、認められないものでもない」としています。標準管理規約は、この裁判を機に役員資格を[現に居住する組合員→組合員]に変更しています。なお、個人情報保護法は管理組合に適用されませんが、閲覧させる場合には慎重にしてください。
【トラブル事例5】
管理費滞納
●常時1割程度滞納があり、厳しくしたいが、ルールは決めるべきか。
◆対策……ルールは決めた方がいい。
1~2ヶ月滞納ならこう、3~4ヶ月ならこうすると決めておけば、誰でも事務的に督促できます。マンション管理センターの「管理費などの徴収および初期対応マニュアル」などを参考にしてください。ちなみに遅延損害金の14.6%は、税金滞納時の遅延損害金に合わせています。
【トラブル事例6】
機械式駐車場
●機械式駐車場16台分の半分が空いている。2基のうち一方は1台のみ。1台の所有者に移動してもらいたいが、車の所有者が反対する。
◆対策……機械式駐車場は維持管理費がかかります。管理費に組み込まれることが多く収支が見えにくいですが、本来は別会計が望ましいです。別会計でなくても、減価償却費から年間電気代、修繕費などを計算し、赤字なら駐車料金の値上げ、または一部停止・撤去も検討しましょう。但し決められた駐車場設置率の台数分は残しておく必要があります。
駐車場の外部貸しは、募集を広く行うと内部貸しにも税金がかかることがあります。屋上にある携帯電話基地局収入などにも税金が課税されますので、注意が必要です。
【相談事例】
一括受電方式
●一括受電方式について管理会社から話があるが、メリット・デメリットは?
◆解説……一括受電方式は、マンション全体で関西電力と高圧電力契約を行い、各家庭へは一括受電業者と低圧契約することです。切り替えは管理組合が行います。
メリット⇒電気料金が共用部分で10~40%、専有部分で5~10%安くなる可能性があります。但し50戸未満では導入効果はあまり期待できません。
デメリット⇒関西電力と個別契約せず、別会社に委託費用を払って個別徴収するため、総会での特別多数決議と、区分所有者全員の同意書が必要。高圧受電設備も必要で、1~3年ごとの保守点検のときに停電があります。2016年から電力自由化が始まりますので、高圧受電でなくても、安くなる可能性はあります。
ワースト5は、平成25年度で1.生活音
2.管理費等滞納 3.違法駐車 4.ペット飼育 5.水漏れ。この5つが、いろいろなトラブルになっています。
【トラブル事例1】
喫煙による迷惑行為
●上階の居住者が火のついたタバコを窓から捨てる。注意しても、していないと主張される。
◆対策……タバコを吸っている、下に投げ捨てている写真を撮り、目撃日時を記録する。相手に認めさせる証拠作りが必要です。ベランダは専用使用権のある共用部分で、「通常の用法に使う」とあり喫煙禁止は難しいが、平成24年の裁判事例では「不法行為が成立する」となりました。他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながらの喫煙継続は不法行為が成立する、ということです。
【トラブル事例2】
ペット飼育
(1)ペット禁止なのに飼っている。
(2)「1匹まで、50cm以下」なら飼育可能だが、複数飼いしている。
(3)飼育可能だが、犬の匂いで苦情があるので禁止にしたい。
→どう対応するか
◆対策……マンションは、ある程度生活に制約があるのはやむを得ないことです。裁判でもペットは、生きて行く上で
どうしても必要なものではないとの判断もあり、過去のペットに関する裁判で飼い主が勝った事例はありません。飼育OKでも飼う側が自主規制をするなどが必要です。
トラブルを防ぐ規約の方向性は①飼育禁止②一代限りOKとする③飼育OKの3つあるが理事会での方向を決める必要があります。①は非常に難しいです。②も同じ犬種なら犬が変わってもわかりません。③でもペットと飼い主の教育が必要です。
【トラブル事例3】
総会・理事会の出席
(1)総会に夫婦で出席、共に発言して進行を妨げる。
(2)ご主人が区分所有者、奥さんが他の区分所有者の委任状を持って出席。
(3)長期出張のご主人の代わりに妻が理事会に出席。
◆対策…(1)は議決権は1つ。夫婦共有でどちらも区分所有者なら出席はできますが、議決権は1つです。進行の妨げはしっかりした議長の采配で止めるようにします。理事長が議長を兼任することが多いですが、できれば別の人が望ましいでしょう。規約に規定がある場合は、規約を変更する必要もあります。
(2)は可能です。
(3)最高裁での判例で「理事の代理出席は、理事に事故がある場合に限定して認めるのは有効」とあり、妻はあくまでもピンチヒッターです。理事はできるだけ日程を調整していただきたいと思います。
【トラブル事例4】
管理費などの問題
(1)不在所有者から徴収する協力金の月額2500円と役員報酬が決まった。
→納得できない。
(2)不在所有者の協力金徴収が議決されそうだが納得できない。他の不在所有者に連絡したいので、名簿の閲覧を請求した。
◆対策……(1)は築33年868戸のマンションで賃貸が200戸。懸案事項が多く、役員は大変で不公平。協力金は当初の月額5000円を、和解勧告で2500円にした。平成22年の最高裁判決で「協力金の設定が、認められないものでもない」としています。標準管理規約は、この裁判を機に役員資格を[現に居住する組合員→組合員]に変更しています。なお、個人情報保護法は管理組合に適用されませんが、閲覧させる場合には慎重にしてください。
【トラブル事例5】
管理費滞納
●常時1割程度滞納があり、厳しくしたいが、ルールは決めるべきか。
◆対策……ルールは決めた方がいい。
1~2ヶ月滞納ならこう、3~4ヶ月ならこうすると決めておけば、誰でも事務的に督促できます。マンション管理センターの「管理費などの徴収および初期対応マニュアル」などを参考にしてください。ちなみに遅延損害金の14.6%は、税金滞納時の遅延損害金に合わせています。
【トラブル事例6】
機械式駐車場
●機械式駐車場16台分の半分が空いている。2基のうち一方は1台のみ。1台の所有者に移動してもらいたいが、車の所有者が反対する。
◆対策……機械式駐車場は維持管理費がかかります。管理費に組み込まれることが多く収支が見えにくいですが、本来は別会計が望ましいです。別会計でなくても、減価償却費から年間電気代、修繕費などを計算し、赤字なら駐車料金の値上げ、または一部停止・撤去も検討しましょう。但し決められた駐車場設置率の台数分は残しておく必要があります。
駐車場の外部貸しは、募集を広く行うと内部貸しにも税金がかかることがあります。屋上にある携帯電話基地局収入などにも税金が課税されますので、注意が必要です。
【相談事例】
一括受電方式
●一括受電方式について管理会社から話があるが、メリット・デメリットは?
◆解説……一括受電方式は、マンション全体で関西電力と高圧電力契約を行い、各家庭へは一括受電業者と低圧契約することです。切り替えは管理組合が行います。
メリット⇒電気料金が共用部分で10~40%、専有部分で5~10%安くなる可能性があります。但し50戸未満では導入効果はあまり期待できません。
デメリット⇒関西電力と個別契約せず、別会社に委託費用を払って個別徴収するため、総会での特別多数決議と、区分所有者全員の同意書が必要。高圧受電設備も必要で、1~3年ごとの保守点検のときに停電があります。2016年から電力自由化が始まりますので、高圧受電でなくても、安くなる可能性はあります。
11月1日(土)第1日目−2
講座2
マンションの耐震改修
まずは耐震診断でマンションの弱点を知り、地震に備えてできることをみつけましょう。〈講師〉特定非営利活動法人 集合住宅維持管理機構 大槻 博司 (おおつき ひろし)
1 20世紀以降の主な地震
・1923年 関東大震災
当時は建築基準法はなく、1950年の福井地震の年に建築基準法が制定。
・1970年 十勝沖地震
柱のせん断型破壊が甚大で、これにより、建築基準法が一部改正。
・1981年 宮城沖地震
建築基準法施行令改正、新耐震設計法となりました。震度7の地震が来て、建物が傷んでも人命が保護されるように、と耐震についての考え方が変わりました。
・1995年 阪神淡路大震災。
新耐震以前と以降の建物で被害に大きく差が出たため、2000年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行。
・2003年 十勝沖地震
・2004年 新潟県中越地震
・2011年 東日本大震災
昨今は震度6強や7の地震が増えています。
2 予想される大地震
今後予想される大地震の1つ、上町断層の地震は震度7、市内全域6以上と想定。周期は8000年、今後30年以内の発生確率は2%~3%といわれています。
もう1つが南海トラフ大地震で、予想震度は5強~6。88年周期と言われ、東南海地震1944年、南海地震1946年から約70年経ち、発生確率が上がっているといわれています。
東日本大震災もですが、長周期地震はゆっくり大きく揺れる。10階程度より、超高層の一番上はものすごく揺れる。その対策も、これから考える必要があります。
南海地震発生時の津波浸水の想定は、大阪市HPにも掲載されています。
3 耐震化の進捗状況と
促進政策
平成20年の耐震化は木造を含む住宅全体で約79%です。耐震改修の促進に関する法律(平成25年11月改定施行)では、
・耐震改修で床面積が増えるのは特例で認める。
・マンションの耐震改修の実施を決めるための管理組合総会での決議要件を過半数に緩和(通常は4分の3以上)。
また、倒壊ビルが道路を塞ぐのを防ぐため、中央環状線や新御堂筋、国道1号線などの指定区間沿道で新耐震以前のマンションは、国と自治体が100%補助するので耐震診断をしてください、としています。大阪市では、一般のマンションにも耐震診断、耐震改修の補助制度を設けています(診断費用の3分の2以内かつ200万円が限度)。
4 マンションの構造と地震力
建物は柱と梁で支えるラーメン構造と、壁で支える壁式構造があり、日本の木造はだいたい前者で、地震のときは変形が大きくなります。
マンションなどの構造物のうち、コンクリートは圧縮(荷重)に強く、引っ張られる力には弱い。一方、鉄筋は引っ張られる力に対抗して、それぞれが役割を分担しています。地震の時は地面がついているので、横から押す力と同じで、平行四辺形になろうとする。この中の壁は対角線に伸びて、壁に×印のひび割れが入ります。また横から押されると、柱の間に腰壁があると、壁は保っても、柱が折れるような力がかかる。
もう1つはピロティ。上に住宅があり、1階が駐車場。2階以上は住戸間に耐震壁があり、頑丈。対して1階は壁が少ない。上が強く下が弱いので、力が1階に集中して変形が大きくなる。阪神大震災や芸予地震でも1階のピロティがつぶれた例はありました。
5 マンションの耐震性を知ろう
お住まいのマンションについて「わからない方が気が楽」と考えるのではなく、少しでもなんとかするため、耐震診断で弱点を知っておきましょう。
1.補助金申請と現地調査
2.マンションの図面を元に構造計算
3.液状化する地質など特記事項があれば、コメントを付加
4.各棟・各階で3本ずつ、コンクリートを抜き取って圧縮強度試験を行うため、居住者の了解が必要です。
5.調査の結果、以下のようなことがあれば診断の可否を検討、もしくは中止します。
(1)コンクリートの圧縮強度が平均値で13.5N/㎟を下回る
(2)すでに傾いている
(3)過去の火事で、コンクリートの亀裂、剥落などがある
(4)塩害やアルカリ骨材反応で鉄筋の腐食が著しい
(5)凍害でコンクリート断面欠損が著しい
6 耐震診断から耐震改修へ
実際の診断では劣化状況を確認、コンクリートを抜き取って圧縮強度試験をします。結果は、極めてまれに発生する大地震(震度6強~7程度の地震)に対して倒壊・崩壊の危険性があるかどうかをIs値という指標で判断します。
・0.6以上……危険性が低い
・0.3~0.6……危険性がある
・0.3以下……危険性が高い
耐震改修をする場合、総会で決議(3の項を参照)。次の工事の補助金は計画認定という手続きが必要です。部分改修では補助金は出ませんが、一番弱いところを補強してバランスをよくするという考え方もあります。
ある管理組合では、総会で反対意見も出ましたが、最終的には「耐震改修で助かる命が1つでも増えるならやる意味がある」ということになり、1階のピロティに耐震壁を作るなどの部分補強をしました。
皆さんも、まず建物の現状を知ってください。補強を要する場合でも、段階的に向上させる方法もあります。住宅金融支援機構の大規模修繕のリフォームローンは耐震工事なら金利が安くなるものもあります。柔よく剛を制する、耐震改修もいろいろ考えて、ぜひ進める可能性を見つけていただければと思います。
・1923年 関東大震災
当時は建築基準法はなく、1950年の福井地震の年に建築基準法が制定。
・1970年 十勝沖地震
柱のせん断型破壊が甚大で、これにより、建築基準法が一部改正。
・1981年 宮城沖地震
建築基準法施行令改正、新耐震設計法となりました。震度7の地震が来て、建物が傷んでも人命が保護されるように、と耐震についての考え方が変わりました。
・1995年 阪神淡路大震災。
新耐震以前と以降の建物で被害に大きく差が出たため、2000年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行。
・2003年 十勝沖地震
・2004年 新潟県中越地震
・2011年 東日本大震災
昨今は震度6強や7の地震が増えています。
2 予想される大地震
今後予想される大地震の1つ、上町断層の地震は震度7、市内全域6以上と想定。周期は8000年、今後30年以内の発生確率は2%~3%といわれています。
もう1つが南海トラフ大地震で、予想震度は5強~6。88年周期と言われ、東南海地震1944年、南海地震1946年から約70年経ち、発生確率が上がっているといわれています。
東日本大震災もですが、長周期地震はゆっくり大きく揺れる。10階程度より、超高層の一番上はものすごく揺れる。その対策も、これから考える必要があります。
南海地震発生時の津波浸水の想定は、大阪市HPにも掲載されています。
3 耐震化の進捗状況と
促進政策
平成20年の耐震化は木造を含む住宅全体で約79%です。耐震改修の促進に関する法律(平成25年11月改定施行)では、
・耐震改修で床面積が増えるのは特例で認める。
・マンションの耐震改修の実施を決めるための管理組合総会での決議要件を過半数に緩和(通常は4分の3以上)。
また、倒壊ビルが道路を塞ぐのを防ぐため、中央環状線や新御堂筋、国道1号線などの指定区間沿道で新耐震以前のマンションは、国と自治体が100%補助するので耐震診断をしてください、としています。大阪市では、一般のマンションにも耐震診断、耐震改修の補助制度を設けています(診断費用の3分の2以内かつ200万円が限度)。
4 マンションの構造と地震力
建物は柱と梁で支えるラーメン構造と、壁で支える壁式構造があり、日本の木造はだいたい前者で、地震のときは変形が大きくなります。
マンションなどの構造物のうち、コンクリートは圧縮(荷重)に強く、引っ張られる力には弱い。一方、鉄筋は引っ張られる力に対抗して、それぞれが役割を分担しています。地震の時は地面がついているので、横から押す力と同じで、平行四辺形になろうとする。この中の壁は対角線に伸びて、壁に×印のひび割れが入ります。また横から押されると、柱の間に腰壁があると、壁は保っても、柱が折れるような力がかかる。
もう1つはピロティ。上に住宅があり、1階が駐車場。2階以上は住戸間に耐震壁があり、頑丈。対して1階は壁が少ない。上が強く下が弱いので、力が1階に集中して変形が大きくなる。阪神大震災や芸予地震でも1階のピロティがつぶれた例はありました。
5 マンションの耐震性を知ろう
お住まいのマンションについて「わからない方が気が楽」と考えるのではなく、少しでもなんとかするため、耐震診断で弱点を知っておきましょう。
1.補助金申請と現地調査
2.マンションの図面を元に構造計算
3.液状化する地質など特記事項があれば、コメントを付加
4.各棟・各階で3本ずつ、コンクリートを抜き取って圧縮強度試験を行うため、居住者の了解が必要です。
5.調査の結果、以下のようなことがあれば診断の可否を検討、もしくは中止します。
(1)コンクリートの圧縮強度が平均値で13.5N/㎟を下回る
(2)すでに傾いている
(3)過去の火事で、コンクリートの亀裂、剥落などがある
(4)塩害やアルカリ骨材反応で鉄筋の腐食が著しい
(5)凍害でコンクリート断面欠損が著しい
6 耐震診断から耐震改修へ
実際の診断では劣化状況を確認、コンクリートを抜き取って圧縮強度試験をします。結果は、極めてまれに発生する大地震(震度6強~7程度の地震)に対して倒壊・崩壊の危険性があるかどうかをIs値という指標で判断します。
・0.6以上……危険性が低い
・0.3~0.6……危険性がある
・0.3以下……危険性が高い
耐震改修をする場合、総会で決議(3の項を参照)。次の工事の補助金は計画認定という手続きが必要です。部分改修では補助金は出ませんが、一番弱いところを補強してバランスをよくするという考え方もあります。
ある管理組合では、総会で反対意見も出ましたが、最終的には「耐震改修で助かる命が1つでも増えるならやる意味がある」ということになり、1階のピロティに耐震壁を作るなどの部分補強をしました。
皆さんも、まず建物の現状を知ってください。補強を要する場合でも、段階的に向上させる方法もあります。住宅金融支援機構の大規模修繕のリフォームローンは耐震工事なら金利が安くなるものもあります。柔よく剛を制する、耐震改修もいろいろ考えて、ぜひ進める可能性を見つけていただければと思います。
11月9日(日)第2日目−1
講演1
管理組合理事・監事の役割と業務
理事会運営には細則を作ってそれに従い、何かを決めるには合意を形成することが大切です。〈講師〉公益財団法人 マンション管理センター 長田 康夫 (おさだ やすお)
平成25年末で、マンションに約1470万人が住んでいます。センターには1年間で約7800件の相談が寄せられました。
Ⅰ マンション住まいの基本的な考え方
1 マンションでの考え方・話し合い方
マンションは、1つの建物に複数の区分所有権という所有権が存在します。そして共用部分の管理は、みんなで決める必要があります。たとえば共用部分の清掃を管理会社に頼むのと自分たちでやるのは、自分の財産を守っていく意味ではどちらも正しいのです。そこで何かを決める時には合意形成が必要です。
2 管理するのは…区分所有者全員
責任者は理事長、その手助けをするのが理事であり、理事会を組織します。そして理事会、理事長の業務の執行、財産の状況の監視をするのが監事です。
3 管理を実務面で手助けするのは…
管理会社
管理会社は基本的に委託契約書に書かれている業務のみを行います。たとえば管理員の年休に代替員はあるか、清掃道具は組合と管理会社のどちら持ちか、などの内容も確認しておく必要があります。なお第三者の建築士、マンション管理士などに助言を頼むのも良い方法です。
Ⅱ 理事と理事会
1 理事会運営に関する相談事例について
いろいろな相談がありますが、回答はひとつ。「皆さんのマンションでは、皆さんの決めた規約、細則の通りにしていますか?」です。相談の背景には、理事会運営の具体的ルールが決まっていない、決まっていても周知されていない、周知されていても守らないなどがあります。
2 理事会運営細則の必要性
理事会の権限や職務範囲を明確にするため、運営細則を作って、具体的に網羅することが必要です。当センターでもモデルを作っているので、参考にされると良いと思います。
3 理事会及び理事長などの職務
理事会の業務のうち、理事長が行うことを抜き出してまとめます。議事録素案、収支決算素案などの作成を契約に基づき管理業者が行う場合も、責任は理事長又は理事会が負います。
[相談例]
理事長の引き受け手が決まらない
理事に選任されたら、それぞれ事情はあると思いますが、早く決めて執行体制を整えます。役職へ就任しやすくするのに、任期を2年にして理事の半数は改選、専門家を活用する、専門委員会の設置が必要なら提案します。
4 定例理事会の開催
事業の実施状況等のチェック、定期的な意見交換も大切です。管理標準指針では、毎月1回の定期開催を望ましい対応としています。理事会の出席率を上げるには、たとえば第3土曜の7時と前もって決めておきます。なお組合員の傍聴は、理事の活発な発言を止める危険もあるので認めない場合もあります。
[相談例]
年間事業スケジュールはどう決める?
通常の管理業務と大規模修繕工事、管理規約改正を検討する業務などがあります。事業ごとの担当理事を決め、スケジュール表を作成して進めましょう。
[相談例]
理事会に出席できない場合、理事長又は他の理事を代理人とする委任状の提出はできるか?妻又は子どもを代理人として出席させることはできるか?
区分所有法の39条の第2項に、「議決権は書面で、または代理人によって行使できる」とありますが、標準管理規約では理事会にこの規定はありません。配偶者・子どもという区分所有者の予備軍は代理出席も可と考えて規定するのも良いでしょう。ただ毎回なら資格要件を広げる規約に改正するという考慮が必要です。
5 理事会議事録の閲覧等のルール
議長を務める理事長が作成、保管します。組合員や利害関係人から要求があれば閲覧させなければなりません。但しプライバシー侵害にならないよう、注意が必要です。
6 専門家の活用
大規模修繕工事の専門委員の任期や予算措置、専門家の活用や契約先・業務内容などは、総会の承認が必要です。専門委員会運営細則も決めておきます。
7 理事会活動の広報
活動状況や今後の方針を理解してもらうために義務化して、途中経過も知らせます。理事会議事録は、掲示をして回覧板で回すのがいいでしょう。
8 新旧役員の引継ぎ
時間をかけて具体的に行います。1年のスケジュール表を作り、各理事が何をしたかを書き、それを集めて一覧・実施表にする。これを基本に引継ぎを行えば、新役員は段取りがわかりやすくなります。
9 役員の選出方法
基本ルールとともに、イレギュラーも想定しておきます。建設会社関係の区分所有者が工事前に立候補してくることも考えられますので、基本ルールを崩しての立候補や推薦を認めないのなら明記しておくなど工夫が必要です。
10 役員報酬
平成25年度マンション総合調査報告書では、73.1%の管理組合で報酬を払っていません。ただ役員は自分の財産を守る形で自分に返って来るので、例え報酬を貰っていなくても、ボランティアではありません。
Ⅲ 監事
標準管理規約には、監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならないとあります。理事からの互選や理事との兼任は許されません。監事は、問題点の指摘に満足な回答が得られない場合、監査報告書にその旨記載し、組合員に報告することは認められます。また監事が、不正があると認めたときは臨時総会を招集、不正を報告することができます。
Ⅰ マンション住まいの基本的な考え方
1 マンションでの考え方・話し合い方
マンションは、1つの建物に複数の区分所有権という所有権が存在します。そして共用部分の管理は、みんなで決める必要があります。たとえば共用部分の清掃を管理会社に頼むのと自分たちでやるのは、自分の財産を守っていく意味ではどちらも正しいのです。そこで何かを決める時には合意形成が必要です。
2 管理するのは…区分所有者全員
責任者は理事長、その手助けをするのが理事であり、理事会を組織します。そして理事会、理事長の業務の執行、財産の状況の監視をするのが監事です。
3 管理を実務面で手助けするのは…
管理会社
管理会社は基本的に委託契約書に書かれている業務のみを行います。たとえば管理員の年休に代替員はあるか、清掃道具は組合と管理会社のどちら持ちか、などの内容も確認しておく必要があります。なお第三者の建築士、マンション管理士などに助言を頼むのも良い方法です。
Ⅱ 理事と理事会
1 理事会運営に関する相談事例について
いろいろな相談がありますが、回答はひとつ。「皆さんのマンションでは、皆さんの決めた規約、細則の通りにしていますか?」です。相談の背景には、理事会運営の具体的ルールが決まっていない、決まっていても周知されていない、周知されていても守らないなどがあります。
2 理事会運営細則の必要性
理事会の権限や職務範囲を明確にするため、運営細則を作って、具体的に網羅することが必要です。当センターでもモデルを作っているので、参考にされると良いと思います。
3 理事会及び理事長などの職務
理事会の業務のうち、理事長が行うことを抜き出してまとめます。議事録素案、収支決算素案などの作成を契約に基づき管理業者が行う場合も、責任は理事長又は理事会が負います。
[相談例]
理事長の引き受け手が決まらない
理事に選任されたら、それぞれ事情はあると思いますが、早く決めて執行体制を整えます。役職へ就任しやすくするのに、任期を2年にして理事の半数は改選、専門家を活用する、専門委員会の設置が必要なら提案します。
4 定例理事会の開催
事業の実施状況等のチェック、定期的な意見交換も大切です。管理標準指針では、毎月1回の定期開催を望ましい対応としています。理事会の出席率を上げるには、たとえば第3土曜の7時と前もって決めておきます。なお組合員の傍聴は、理事の活発な発言を止める危険もあるので認めない場合もあります。
[相談例]
年間事業スケジュールはどう決める?
通常の管理業務と大規模修繕工事、管理規約改正を検討する業務などがあります。事業ごとの担当理事を決め、スケジュール表を作成して進めましょう。
[相談例]
理事会に出席できない場合、理事長又は他の理事を代理人とする委任状の提出はできるか?妻又は子どもを代理人として出席させることはできるか?
区分所有法の39条の第2項に、「議決権は書面で、または代理人によって行使できる」とありますが、標準管理規約では理事会にこの規定はありません。配偶者・子どもという区分所有者の予備軍は代理出席も可と考えて規定するのも良いでしょう。ただ毎回なら資格要件を広げる規約に改正するという考慮が必要です。
5 理事会議事録の閲覧等のルール
議長を務める理事長が作成、保管します。組合員や利害関係人から要求があれば閲覧させなければなりません。但しプライバシー侵害にならないよう、注意が必要です。
6 専門家の活用
大規模修繕工事の専門委員の任期や予算措置、専門家の活用や契約先・業務内容などは、総会の承認が必要です。専門委員会運営細則も決めておきます。
7 理事会活動の広報
活動状況や今後の方針を理解してもらうために義務化して、途中経過も知らせます。理事会議事録は、掲示をして回覧板で回すのがいいでしょう。
8 新旧役員の引継ぎ
時間をかけて具体的に行います。1年のスケジュール表を作り、各理事が何をしたかを書き、それを集めて一覧・実施表にする。これを基本に引継ぎを行えば、新役員は段取りがわかりやすくなります。
9 役員の選出方法
基本ルールとともに、イレギュラーも想定しておきます。建設会社関係の区分所有者が工事前に立候補してくることも考えられますので、基本ルールを崩しての立候補や推薦を認めないのなら明記しておくなど工夫が必要です。
10 役員報酬
平成25年度マンション総合調査報告書では、73.1%の管理組合で報酬を払っていません。ただ役員は自分の財産を守る形で自分に返って来るので、例え報酬を貰っていなくても、ボランティアではありません。
Ⅲ 監事
標準管理規約には、監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならないとあります。理事からの互選や理事との兼任は許されません。監事は、問題点の指摘に満足な回答が得られない場合、監査報告書にその旨記載し、組合員に報告することは認められます。また監事が、不正があると認めたときは臨時総会を招集、不正を報告することができます。
11月9日(日)第2日目−2
講演2
マンションの防犯
共用部は美しく整頓し、ちょっとした工夫を積み重ねることが防犯につながります。〈講師〉大阪府曾根崎警察署 生活安全課 防犯係
今日は、マンションの防犯とその対策についてお話しします。
●駐車場の防犯対策
「関係者以外立ち入り禁止」「防犯カメラ作動中」などの掲示がおすすめです。防犯カメラやライトを設置する際は、死角がないか気をつけます。また車の中にモノをおかない。中が見えにくいようにカーテンやサンバイザーをつける。イモビライザーで車にセキュリティをかけるのも有効です。
●共有スペースの防犯対策
・「現在警戒中」などのステッカーを貼る……セキュリティ意識が高いとアピール。
・見通しよくしておく……外から見えにくいと、中で何をしていてもわからない。
・防犯カメラ・人感センサーの設置……泥棒が一番怖いのは、目と音と光。ソフト面では防犯パトロール、「どちらに行かれますか?」と声をかけるのも大切です。
●居室スペースの防犯対策
・ロック錠をかける。鍵はダブルに……ピッキングやサムターン回し、郵便受け壊し対策。
・ガラスは割れにくいように……上から貼るラミネートは、ホームセンターでも売っています。1枚ガラスが割れていたら、次々とガラスが割られる「割れ窓理論」のように、マンションも、自転車置き場や共用スペースが乱雑、木の剪定もしていないと狙われます。
《防犯チェック&解説》
○が入ると要注意!
●外観
□隣の建物との間隔が狭い。
⇒間が狭い所は、手で押さえながら最高12階まで上がれる。
□通用口付近に死角があり、見通しが悪い。
□マンションの出入り口が暗い。
●外出時
□留守電のメッセージに「今留守です」と入れている。
⇒泥棒に留守を知らせるので×。「ただ今手が離せません」などに。
□予備の鍵を屋外の玄関付近に隠している。
□外出から戻ると我が家は真っ暗。
⇒帰りの時間がわかるので×。タイマー式のライトをつける。
□長期外出する時に新聞や郵便を止めない。
⇒ポストからあふれていると留守だとわかる。
●室内
□通帳や印鑑、カードや生年月日を記したものを一緒に保管している。
□へそくりやお金を仏壇の引き出しや神棚に置いている。
⇒大事なものは必ず分散して。
□部屋の中が散らかっている。
⇒どこが荒らされているかわからない。
□室内の目立つ所や玄関に財布やかばんなどを置いている。
⇒ちょっとしたスキに盗られやすい。
●建物・敷地
□扉や窓に鍵が1つ。
⇒ワンドアツーロックが防犯の基本。
□ベランダの窓の鍵を閉めない。
⇒必ず閉め、1階住居のベランダ側には玉砂利やセンサーライトをつける。
□お風呂場の窓は開けっ放しにしている。
⇒枠を外して侵入できるので×。
□ドアチェーンやドアホンをしていない。
□オートロックの解除番号を覚えやすくしている。
□駐車場や駐輪場で盗難が続く。
⇒マンション全体の防犯意識が低いと分かり、居室も狙われる。
□エレベーター内でイタズラが発生したことがある。
⇒進入しやすいマンションという証拠。
特に若い女性は、エレベーターに1人で乗ったときに知らない人が乗って来たら、近くの階で下りるなどの対策も必要。また降りる前にその人の顔を見ておくと、人目を嫌う犯罪者にとって効果的。
●その他
□マンションの受け持ち交番を知らない。
⇒どこが自分の受け持ち交番か、必ず知っておく。
□近所付き合いがなく、親しい人がいない。
⇒隣近所、同じフロアの人と知り合ってほしい。
□ウチの家に泥棒なんか入らないと思っている。
⇒油断が一番危ない。
《まとめ》
マンションの防犯で、大切なのはお金をかけることより工夫とコミュニティ。ぜひ活用していただきたいと思います。
●駐車場の防犯対策
「関係者以外立ち入り禁止」「防犯カメラ作動中」などの掲示がおすすめです。防犯カメラやライトを設置する際は、死角がないか気をつけます。また車の中にモノをおかない。中が見えにくいようにカーテンやサンバイザーをつける。イモビライザーで車にセキュリティをかけるのも有効です。
●共有スペースの防犯対策
・「現在警戒中」などのステッカーを貼る……セキュリティ意識が高いとアピール。
・見通しよくしておく……外から見えにくいと、中で何をしていてもわからない。
・防犯カメラ・人感センサーの設置……泥棒が一番怖いのは、目と音と光。ソフト面では防犯パトロール、「どちらに行かれますか?」と声をかけるのも大切です。
●居室スペースの防犯対策
・ロック錠をかける。鍵はダブルに……ピッキングやサムターン回し、郵便受け壊し対策。
・ガラスは割れにくいように……上から貼るラミネートは、ホームセンターでも売っています。1枚ガラスが割れていたら、次々とガラスが割られる「割れ窓理論」のように、マンションも、自転車置き場や共用スペースが乱雑、木の剪定もしていないと狙われます。
《防犯チェック&解説》
○が入ると要注意!
●外観
□隣の建物との間隔が狭い。
⇒間が狭い所は、手で押さえながら最高12階まで上がれる。
□通用口付近に死角があり、見通しが悪い。
□マンションの出入り口が暗い。
●外出時
□留守電のメッセージに「今留守です」と入れている。
⇒泥棒に留守を知らせるので×。「ただ今手が離せません」などに。
□予備の鍵を屋外の玄関付近に隠している。
□外出から戻ると我が家は真っ暗。
⇒帰りの時間がわかるので×。タイマー式のライトをつける。
□長期外出する時に新聞や郵便を止めない。
⇒ポストからあふれていると留守だとわかる。
●室内
□通帳や印鑑、カードや生年月日を記したものを一緒に保管している。
□へそくりやお金を仏壇の引き出しや神棚に置いている。
⇒大事なものは必ず分散して。
□部屋の中が散らかっている。
⇒どこが荒らされているかわからない。
□室内の目立つ所や玄関に財布やかばんなどを置いている。
⇒ちょっとしたスキに盗られやすい。
●建物・敷地
□扉や窓に鍵が1つ。
⇒ワンドアツーロックが防犯の基本。
□ベランダの窓の鍵を閉めない。
⇒必ず閉め、1階住居のベランダ側には玉砂利やセンサーライトをつける。
□お風呂場の窓は開けっ放しにしている。
⇒枠を外して侵入できるので×。
□ドアチェーンやドアホンをしていない。
□オートロックの解除番号を覚えやすくしている。
□駐車場や駐輪場で盗難が続く。
⇒マンション全体の防犯意識が低いと分かり、居室も狙われる。
□エレベーター内でイタズラが発生したことがある。
⇒進入しやすいマンションという証拠。
特に若い女性は、エレベーターに1人で乗ったときに知らない人が乗って来たら、近くの階で下りるなどの対策も必要。また降りる前にその人の顔を見ておくと、人目を嫌う犯罪者にとって効果的。
●その他
□マンションの受け持ち交番を知らない。
⇒どこが自分の受け持ち交番か、必ず知っておく。
□近所付き合いがなく、親しい人がいない。
⇒隣近所、同じフロアの人と知り合ってほしい。
□ウチの家に泥棒なんか入らないと思っている。
⇒油断が一番危ない。
《まとめ》
マンションの防犯で、大切なのはお金をかけることより工夫とコミュニティ。ぜひ活用していただきたいと思います。
11月15日(土)第3日目−1
講座1
マンション設備の改修
設備類は所有・管理区分を意識しておき、大規模修繕では設備の更新も視野に入れて。〈講師〉公益社団法人 大阪府建築士会
橋本 頼幸(はしもと よりたか)
津村 泰夫(つむら やすお)
桑原 宏明(くわはら ひろあき)
【機械設備編】
・給水
以前は高置水槽から重力を利用して水を配る方法が主流でした。今は、受水漕から加圧ポンプで給水するか、直結のブースターポンプ方式が多いです。給水管も、ライニング鋼管は継ぎ目でサビが発生するので、現在は塩ビ管が主流です。専有部分からの分岐は分岐配管が主流でしたが、今は漏水リスクの少ないさや管ヘッダー方式が主流です。ライニング鋼管や土の中に入っている配管は、大規模修繕時にチェックしてください。
設備更新では、鉄の配管を塩ビに変え、露出にカバーをかけるやり方や、配管内にビニールを流し込むライニングもあります。
・排水設備
点検し忘れがちなのが、地下ピットや、地下に入るタイプの機械式駐車場にある排水ポンプ。耐用年数は15年くらいと言われており、故障すると大雨の時に車が水浸しになることも。管理組合の責任になりかねないので、定期的にチェックを。
・ガス設備・給湯設備
昭和55年頃まで使われていた白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)は、埋設で腐食する危険があります。ビニール系ポリエチレン管を被覆した鋼管に変えますが、敷地内は所有者負担。給湯設備は専有部分ですが、希望者分をまとめて工事すると安くすることもできます。
・換気設備
給排気口の網にホコリが詰まっていると、空気が入って来ません。専有部分の防火ダンパーは古くなると強風に煽られて閉まり、換気しても開かないことがあります。専有部分でも、大切な部分は大規模修繕で一斉点検しておきましょう。
【電気設備編】
1.受電設備
・高圧受電設備……6600V~で電気を引き、受電室、電気室で低圧にして各住戸に送ります。高圧部分は電力会社、その後はマンションの管理。
・マンション一括受電サービス……第三の電力会社が電力を変換、電気代を軽減できるとされています。但し3年に1回の点検で停電、既存マンションでは全員の合意が必要。
2.幹線設備
電気を各住戸や共用部電灯、動力盤まで送る設備。
・電気容量アップ……古いマンションは1戸30A、ブレーカーは5回路程度。IH調理器や食洗機等を使うには回路数、幹線の太さや変圧器の容量アップが必要。5階までは従来配線、その上は新たな幹線にする方法もあります。
3.動力設備
ポンプやエレベーターのモーターを制御する設備。
4.共用電灯設備
共用の電灯をLEDにし、省エネ化を図るマンションが増えています。
5.電話配線設備
MDF(主配電盤)と、各階に電話端子箱があります。インターネット接続会社が多く、1つの盤に納まるよう工事する事も。
6.テレビ共聴設備
屋上アンテナから電波を混合し分配、増幅して各住戸のテレビ端子まで送る設備。地上波はケーブルが多いですが、大阪市内はケーブルの引けないところが結構あります。
7.自動火災報知設備
8.避雷針設備
高さが20m以上の建物に必要。地上に鉄筋を通して下ろし、1階で接地銅板を接続。
9.エレベーター設備
最新のはドア周りなど安全対策が強化。耐用年数は25年が多く、更新は5~7日。油圧式はロープ式にするのが望ましいが、工期は約1ヶ月。
10.集合インターホン設備
エントランスキーの穴が壊れる故障が多い。タッチセンサー、ノンタッチキー方式への変更が便利。
【消防・防犯設備編】
1.マンションの消防設備
日常生活で必要になる機会がないですが、いざという時のために知っておきましょう。
・警報設備
・避難設備
ベランダにある避難ハッチ、この下や上にものを置いてはいけません。誘導灯、誘導標識は通路や階段入口に設置されていますが、誘導灯の球切れやバッテリーの消耗に注意してください。
・消火設備、消防用水
高層であったり大規模なマンションや加えて機械式や立体駐車場をもつマンションには屋内消火設備、泡消火設備、スプリンクラー設備、連結送水管など様々な消火設備が設置されています。
・排煙設備
外気に開放されていないエントランスホールや共用廊下などにあります。
2.消防用設備など点検
消防用設備の設置届けは、所管の消防署に提出。機器点検が年2回、総合点検が年1回、この結果を消防署に提出するのが3年に1回。それ以外、共用部の使い方や間取りに変更が生じた際は、消防設備設置の変更届けが必要です。
3.消防設備の更新
長期修繕計画に入っていても精査されていないことがあります。5~20年のサイクルで更新するか、部品を替えます。特に受信機などは受注生産です。計画に入っているかしっかり確認してください。
4.消防設備に関する注意点
マンションの形状やインターホン連動の火災報知器など消防設備の緩和に関わる機器や独自の警報設備と関わるものも見られます。専有部分のリフォームでも注意が必要。
5.マンションの防犯設備
防犯設備では、防犯カメラのデータ管理が容易なハードディスクタイプが主流です。「防犯モデルマンション登録制度」の内容を参考にマンションの防犯を見直すことは有効でしょう。
・給水
以前は高置水槽から重力を利用して水を配る方法が主流でした。今は、受水漕から加圧ポンプで給水するか、直結のブースターポンプ方式が多いです。給水管も、ライニング鋼管は継ぎ目でサビが発生するので、現在は塩ビ管が主流です。専有部分からの分岐は分岐配管が主流でしたが、今は漏水リスクの少ないさや管ヘッダー方式が主流です。ライニング鋼管や土の中に入っている配管は、大規模修繕時にチェックしてください。
設備更新では、鉄の配管を塩ビに変え、露出にカバーをかけるやり方や、配管内にビニールを流し込むライニングもあります。
・排水設備
点検し忘れがちなのが、地下ピットや、地下に入るタイプの機械式駐車場にある排水ポンプ。耐用年数は15年くらいと言われており、故障すると大雨の時に車が水浸しになることも。管理組合の責任になりかねないので、定期的にチェックを。
・ガス設備・給湯設備
昭和55年頃まで使われていた白ガス管(亜鉛メッキ鋼管)は、埋設で腐食する危険があります。ビニール系ポリエチレン管を被覆した鋼管に変えますが、敷地内は所有者負担。給湯設備は専有部分ですが、希望者分をまとめて工事すると安くすることもできます。
・換気設備
給排気口の網にホコリが詰まっていると、空気が入って来ません。専有部分の防火ダンパーは古くなると強風に煽られて閉まり、換気しても開かないことがあります。専有部分でも、大切な部分は大規模修繕で一斉点検しておきましょう。
【電気設備編】
1.受電設備
・高圧受電設備……6600V~で電気を引き、受電室、電気室で低圧にして各住戸に送ります。高圧部分は電力会社、その後はマンションの管理。
・マンション一括受電サービス……第三の電力会社が電力を変換、電気代を軽減できるとされています。但し3年に1回の点検で停電、既存マンションでは全員の合意が必要。
2.幹線設備
電気を各住戸や共用部電灯、動力盤まで送る設備。
・電気容量アップ……古いマンションは1戸30A、ブレーカーは5回路程度。IH調理器や食洗機等を使うには回路数、幹線の太さや変圧器の容量アップが必要。5階までは従来配線、その上は新たな幹線にする方法もあります。
3.動力設備
ポンプやエレベーターのモーターを制御する設備。
4.共用電灯設備
共用の電灯をLEDにし、省エネ化を図るマンションが増えています。
5.電話配線設備
MDF(主配電盤)と、各階に電話端子箱があります。インターネット接続会社が多く、1つの盤に納まるよう工事する事も。
6.テレビ共聴設備
屋上アンテナから電波を混合し分配、増幅して各住戸のテレビ端子まで送る設備。地上波はケーブルが多いですが、大阪市内はケーブルの引けないところが結構あります。
7.自動火災報知設備
8.避雷針設備
高さが20m以上の建物に必要。地上に鉄筋を通して下ろし、1階で接地銅板を接続。
9.エレベーター設備
最新のはドア周りなど安全対策が強化。耐用年数は25年が多く、更新は5~7日。油圧式はロープ式にするのが望ましいが、工期は約1ヶ月。
10.集合インターホン設備
エントランスキーの穴が壊れる故障が多い。タッチセンサー、ノンタッチキー方式への変更が便利。
【消防・防犯設備編】
1.マンションの消防設備
日常生活で必要になる機会がないですが、いざという時のために知っておきましょう。
・警報設備
・避難設備
ベランダにある避難ハッチ、この下や上にものを置いてはいけません。誘導灯、誘導標識は通路や階段入口に設置されていますが、誘導灯の球切れやバッテリーの消耗に注意してください。
・消火設備、消防用水
高層であったり大規模なマンションや加えて機械式や立体駐車場をもつマンションには屋内消火設備、泡消火設備、スプリンクラー設備、連結送水管など様々な消火設備が設置されています。
・排煙設備
外気に開放されていないエントランスホールや共用廊下などにあります。
2.消防用設備など点検
消防用設備の設置届けは、所管の消防署に提出。機器点検が年2回、総合点検が年1回、この結果を消防署に提出するのが3年に1回。それ以外、共用部の使い方や間取りに変更が生じた際は、消防設備設置の変更届けが必要です。
3.消防設備の更新
長期修繕計画に入っていても精査されていないことがあります。5~20年のサイクルで更新するか、部品を替えます。特に受信機などは受注生産です。計画に入っているかしっかり確認してください。
4.消防設備に関する注意点
マンションの形状やインターホン連動の火災報知器など消防設備の緩和に関わる機器や独自の警報設備と関わるものも見られます。専有部分のリフォームでも注意が必要。
5.マンションの防犯設備
防犯設備では、防犯カメラのデータ管理が容易なハードディスクタイプが主流です。「防犯モデルマンション登録制度」の内容を参考にマンションの防犯を見直すことは有効でしょう。
11月15日(土)第3日目−2
講座2
大規模修繕パネルディスカッション
問題解決には専門家を入れて原因を探り、居住者の声も大切にしながら負担分の切り分けを。〈講師〉公益社団法人 大阪府建築士会
橋本 頼幸 (はしもと よりたか)
津村 泰夫 (つむら やすお)
桑原 宏明 (くわはら ひろあき)
参加者からの大規模修繕に関わる質問をもとに、3人の建築士がそれぞれの経験と考えでトークを繰り広げました。
平成26年度
「マンション管理の基礎知識」
【質問1】
数年前、給水管に磁気工法の工事をした。今後どうすれば?(東成区/築30年)
[橋]排水管は事故などが多くない限り、取り替えることはないですね。
[桑]一度調査されるといいです。1階と最上階の点検口からスコープを入れて状態を見る。まず把握する。それと最下階の住戸の方に様子を聞いてみてはと思います。
【質問2】
集中豪雨の時、1階住戸の洗濯場、台所、トイレなどから汚水が噴出して困っている。大規模修繕でできるか?(鶴見区/築10年)
[津]大規模修繕でもできますし、元の配管が悪い可能性も。1階の排水は別系統なので、上からいくら流れても、本来はあふれない。
[桑]専門家を入れて原因を探る。共用部分なので日常保全として対応、または積立金を取り崩して計画修繕としてやればと思います。
【質問3】
耐用年数25年のエレベーターを30年で取り替え予定。問題は?(中央区/築25年)
[津]問題はありません。交換部品は30年まで用意しているので。ただ交換時にエレベーターが止まるので、住人の方が元気なうちにした方がいいかも。
[橋]安全面も含め劇的に変わった設備で、電気代が安くなるなら決めた時期に関わらず替えるのもありです。
【質問4】
機械式駐車場の一斉更新は必要?、戸数分あり、空きは約10台。(生駒市/築20年)
[津]耐用年数は30年、更新に5000万~1億円必要。メンテナンスも含め、月1台あたり7000円。ただ、車必須なら、メンテは必要です。
[橋]空きが多いと駅前再開発での外部貸しや、コインパーキングにする話はありますが、外部貸しは税金も含め管理が難しいです。
【質問5】
給水管取り替えは区分所有の壁等を壊す工事になる。費用負担や施工協力は?(東成区/築30年)
[桑]共用部改修なので基本は管理組合で費用負担。私のマンションでは、元の仕様での見積を業者に出してもらい、リフォームなどで超える分は各住戸で払うというルールを決めました。
[津]パイプシャフト周りをはがし、クロスも貼り替える。そこは専有部分ですが、一斉工事の場合は、費用は管理組合負担とする場合が多いです。
【質問6】
共用廊下の電気をLEDにしたい。費用と効果は?(東住吉区/築22年)
[津]70戸で約200万。白熱電球からLEDにするならかなり省エネが期待できます。75戸のマンションで5~6年で導入費用を回収した例もあります。ただし、蛍光灯からの変更ではあまり効果はありません。
[橋]電気が切れたと言われる手間が減った、という声は聞きます。器具自体を替えるタイミングなら効果あり。ただ点灯時間が長くない場所にLEDは不要です。
【質問7】
集会室入口の鉄扉を車いすで入れるようにしたい。特定防火区画なのでガラスの引き戸にしたいが?(東成区/築30年)
[桑]難点は引き戸だけど重くなります。防火の分でどうしても。
[橋]鉄の厚さが何ミリとか。それで引き戸だから重くなる。シャッターをつけるなど、別の形、防火戸がある上で引き戸を設けるのがいいかも。いろいろな方に相談してみてください。
【質問8】
大規模修繕2回目を検討中。15階以下なら足場よりゴンドラが安いと聞いたが?(東住吉区/築22年)
[桑]個人的には、工事の状況を監理するには足場があった方がいい。よりいいものを提供できるのではと思います。
[橋]ゴンドラを選ばざるを得ない場合もあります。監理の手間は増えますが、トータルでは安くなることもあります。敷地の余裕の有無などもあり、一概には言えません。
【質問9】
3年前の長期修繕計画で、600㎡の屋上アスファルト防水の工事見積が、600万円から1000万円に。工事費が暴騰?(北区/築18年)
[桑]長期修繕計画は概算で、具体的に工事を行う見積ではないため差が生じた可能性があります。
[津]工事費は去年から高騰。また長期修繕計画では足場工事が別途かも。防水だけなら割高にはなる。共通の仕様書と設計書を作り、相見積を取ってみては。
【質問10】
改修工事の保証期間終了後、住戸の鍵が入りにくいなど問題が出たが?(西成区/築23年)
[橋]原則有償です。鍵の保証期間は長くて2~3年ですね。
[桑]見えない瑕疵があれば別ですが。保証期間を忘れない対策としてエントランスに名板を設置したり総会資料に工事年月日を入れる方法も有効です。必ず保証が切れる前にアンケートやヒアリングをして、手を打つようにしてはと思います。
【質問11】
コンサルタントはどう選べばいい?
[津]劣化診断や修繕経歴調査、アンケート調査をするか、検査前に立ち入り調査するかどうかなど。外壁でも実際にタイルを叩く調査をしないコンサルタントもいます。金額だけで選ぶのは危険です。
[橋]選択肢を用意してくれるコンサルタントを選んでください。管理組合の希望に、「こういうやり方もあります」と、金額も含め、皆さんが考えられるように情報を提供してくれるようなコンサルタントですね。
平成26年度
「マンション管理の基礎知識」
【質問1】
数年前、給水管に磁気工法の工事をした。今後どうすれば?(東成区/築30年)
[橋]排水管は事故などが多くない限り、取り替えることはないですね。
[桑]一度調査されるといいです。1階と最上階の点検口からスコープを入れて状態を見る。まず把握する。それと最下階の住戸の方に様子を聞いてみてはと思います。
【質問2】
集中豪雨の時、1階住戸の洗濯場、台所、トイレなどから汚水が噴出して困っている。大規模修繕でできるか?(鶴見区/築10年)
[津]大規模修繕でもできますし、元の配管が悪い可能性も。1階の排水は別系統なので、上からいくら流れても、本来はあふれない。
[桑]専門家を入れて原因を探る。共用部分なので日常保全として対応、または積立金を取り崩して計画修繕としてやればと思います。
【質問3】
耐用年数25年のエレベーターを30年で取り替え予定。問題は?(中央区/築25年)
[津]問題はありません。交換部品は30年まで用意しているので。ただ交換時にエレベーターが止まるので、住人の方が元気なうちにした方がいいかも。
[橋]安全面も含め劇的に変わった設備で、電気代が安くなるなら決めた時期に関わらず替えるのもありです。
【質問4】
機械式駐車場の一斉更新は必要?、戸数分あり、空きは約10台。(生駒市/築20年)
[津]耐用年数は30年、更新に5000万~1億円必要。メンテナンスも含め、月1台あたり7000円。ただ、車必須なら、メンテは必要です。
[橋]空きが多いと駅前再開発での外部貸しや、コインパーキングにする話はありますが、外部貸しは税金も含め管理が難しいです。
【質問5】
給水管取り替えは区分所有の壁等を壊す工事になる。費用負担や施工協力は?(東成区/築30年)
[桑]共用部改修なので基本は管理組合で費用負担。私のマンションでは、元の仕様での見積を業者に出してもらい、リフォームなどで超える分は各住戸で払うというルールを決めました。
[津]パイプシャフト周りをはがし、クロスも貼り替える。そこは専有部分ですが、一斉工事の場合は、費用は管理組合負担とする場合が多いです。
【質問6】
共用廊下の電気をLEDにしたい。費用と効果は?(東住吉区/築22年)
[津]70戸で約200万。白熱電球からLEDにするならかなり省エネが期待できます。75戸のマンションで5~6年で導入費用を回収した例もあります。ただし、蛍光灯からの変更ではあまり効果はありません。
[橋]電気が切れたと言われる手間が減った、という声は聞きます。器具自体を替えるタイミングなら効果あり。ただ点灯時間が長くない場所にLEDは不要です。
【質問7】
集会室入口の鉄扉を車いすで入れるようにしたい。特定防火区画なのでガラスの引き戸にしたいが?(東成区/築30年)
[桑]難点は引き戸だけど重くなります。防火の分でどうしても。
[橋]鉄の厚さが何ミリとか。それで引き戸だから重くなる。シャッターをつけるなど、別の形、防火戸がある上で引き戸を設けるのがいいかも。いろいろな方に相談してみてください。
【質問8】
大規模修繕2回目を検討中。15階以下なら足場よりゴンドラが安いと聞いたが?(東住吉区/築22年)
[桑]個人的には、工事の状況を監理するには足場があった方がいい。よりいいものを提供できるのではと思います。
[橋]ゴンドラを選ばざるを得ない場合もあります。監理の手間は増えますが、トータルでは安くなることもあります。敷地の余裕の有無などもあり、一概には言えません。
【質問9】
3年前の長期修繕計画で、600㎡の屋上アスファルト防水の工事見積が、600万円から1000万円に。工事費が暴騰?(北区/築18年)
[桑]長期修繕計画は概算で、具体的に工事を行う見積ではないため差が生じた可能性があります。
[津]工事費は去年から高騰。また長期修繕計画では足場工事が別途かも。防水だけなら割高にはなる。共通の仕様書と設計書を作り、相見積を取ってみては。
【質問10】
改修工事の保証期間終了後、住戸の鍵が入りにくいなど問題が出たが?(西成区/築23年)
[橋]原則有償です。鍵の保証期間は長くて2~3年ですね。
[桑]見えない瑕疵があれば別ですが。保証期間を忘れない対策としてエントランスに名板を設置したり総会資料に工事年月日を入れる方法も有効です。必ず保証が切れる前にアンケートやヒアリングをして、手を打つようにしてはと思います。
【質問11】
コンサルタントはどう選べばいい?
[津]劣化診断や修繕経歴調査、アンケート調査をするか、検査前に立ち入り調査するかどうかなど。外壁でも実際にタイルを叩く調査をしないコンサルタントもいます。金額だけで選ぶのは危険です。
[橋]選択肢を用意してくれるコンサルタントを選んでください。管理組合の希望に、「こういうやり方もあります」と、金額も含め、皆さんが考えられるように情報を提供してくれるようなコンサルタントですね。