【第3場面】議案(第1号〜第3号)、事業報告、決算報告、監査報告(未払い金の扱い、未収金の扱い)
副理事長から、2002年度の事業報告及び収支決算報告について提案がある。続いて監事から決算監査報告。この3つの議案に対して議長が出席者からの質問や意見を受け、理事から回答がある。(質問と回答は次のとおり)質問1:「駐車場の補修工事が3月に終わったのに工事代金が未払いになっているのはなぜですか。」
回答1:「工事費の支払いが4月にずれ込んだためです。」
質問2:「未収金の内容と貸付信託とはどういうものですか。」
回答2:「未収金は管理費の長期滞納によるものです。貸付信託については、後日調べてお知らせします。」
質問3:「滞納金は回収が難しくても資産の部にあげておくべきなのですか。」
回答3:「本来回収すべきものであるのであげています。」
議長が他に質問がないことを確認して、採決に入る。出席者からの「異議なし」の声により提案が承認される。
解 説
未払い金、未収金の問題ですが、工事費の「未払い」は、工事は終了したがお金はまだ払っていないということです。「未収」は、例えば管理費などで、当月は過ぎているけれどもお金が入っていない場合で、「前受け」は、仮に管理費や積立金を数か月分まとめて支払われた場合などを示します。また大規模工事などで着手金や中間金として支払う仮払い的なものは「前払い」金として処理します。この4つは収支報告書に計上する方がいいと思います。
その理由は議案書では、予算と決算の対比が大切だからです。予算というのは、来年度の行動計画を数字で表わしたもので、決算は予算に対してどれだけの活動を行ったのかを表わしています。先程の工事の未払いと管理費の未収についても、業務が行われているなら決算に入れておかなければなりません。
管理費の長期滞納による未収金の問題については、「回収の見込みがないのに…」という話が出ていましたが、区分所有法の「特定承継人の責任」という項目に、管理費が未収の場合は、特定継承人、つまりその住戸を次に買った人から取り立てることが出来るという規定があります。不動産業者は不動産の売買時に、重要事項説明書で未払い金があるということを次の購入者に説明しなければならないことになっています。したがって、管理組合は、決算報告書に未収金として総額を上げるだけでなく、回収可能かについて欄外に長期滞納金などの内訳を書いておく方が親切だと思います。 最後に貸付信託ですが、これは元本が保証された金融商品です。
【第4場面】議案第4〜6号と追加議案、ペット飼育細則、広報委員会設置(普通決議・特別決議・未通知議案の処理・可否同数の場合の扱い)
第4号議案のペット飼育細則の設置の提案(現行規約では一般使用細則でペット飼育を禁止)を、議決権の過半数の賛成による普通決議事項として扱おうとしたことに対し、組合員が「ペット飼育問題は、大きな問題であり、4分の3以上の賛成で決める特別決議にすべきではないか」と提案がある。
続いて、執行部から広報委員会設置の追加議案があったが、組合員から「欠席者は議決に参加できないので後日、臨時総会を開くなどして、改めて議決する場が必要ではないか」との意見が出た。
解 説
区分所有法で規約の変更は、総議決権数及び総区分所有者の頭数の各4分の3以上の特別な多数決で決めなければならないと定められています。今回のペットの飼育細則を「規約」と考えるかどうかが問題となります。
この点、旧建設省の標準管理規約の解説本にもペット飼育は大きな問題であるため、規約で定めるべき事項だとし、たとえ細則で定めるとしても、4分の3以上の特別決議とするべきだと書かれています。これが現在の一般的な考え方だと思います。このマンションは120戸ですので、この日出席した35名、委任状出席の55名で、総議決数の4分の3、頭数の4分の3をクリアするためには全員が賛成すれば、この提案が可決することになります。ただし1人でも反対すると、この提案は否決されたということになります。
さて、2つ目の広報委員会の設置については、当日になって議案を追加提案したわけで、この場では議決できません。最後に可否同数の場合ですが、これは管理規約に「可否同数の場合には議長の決するところによる」と書かれています。
【第5場面】議案第7号の新役員選任と閉会(議事録の作成)
新役員の選出は、理事を選出したのち一旦休憩をとり、その間に理事の互選により理事長や副理事長、各担当を決め、総会を再開。その内容を報告して総会を終了する。総会終了後に理事長から「議事録署名人は後日、議事録内容確認と署名押印をお願いします」と関係者への伝言があった。
解 説
理事長が作成しなければならない議事録には、開催日時や議題、議論内容や結果など後々に議事録を見て、その経過を知りうる程度の要約を記載すればいいのですが、決議については有効性を明確にするため、総会時の組合員や議決権の総数、出席者数、そのうち代理人の出席数、また各議案ごとの賛成、反対数を必ず記載しておくべきでしょう。特に建替えや大規模補修など大きな問題では、議事録に賛成や反対、棄権した人の名前を記載しておくことが必要です。その議事録に記載された反対者に住戸の売り渡しを請求する根拠にもなってくるからです。
議事録は総会終了後、速やかに作成し、決められた場所に保管しなければなりません。区分所有法の改正(平成15年6月1日施行)により、これまでは議事録は書面での保管だったのが、例えばワープロのフロッピーで保管するという方法も認められました。なお、議事録は組合員以外でも、利害関係者、例えば賃借人には理由があれば閲覧する権利があります。
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