元木:マンションの維持管理や修繕、建替えについては、人材や技術、組織面でまだ十分なシフトができていないというのが実態です。管理組合と事業者の中間にあるコーディネーター、NPOのような方、こういった方々が組み合わさって自律的にマンションの修繕や建替えというものが進んで行くという体制がここ10年くらいで整備できれば、良好なマンション生活が続いていき、日本の住宅の資産としてしっかりと機能していくことができると思います。
生駒:やはり管理組合の皆さんに基本的な知識をまず知ってもらい、それから運営に関心を持っていただく、そのために広報でしっかり伝えていくことが重要でないかと思います。また管理会社や専門家をうまく活用していくことも重要です。住まい情報センターは、そのための必要な情報を入手でき、あるいは悩んだ時に相談できる場所として、また支援メニューの紹介・提供、いろんな専門家団体・事業者団体との繋ぎ役としての役割を果たせるよう頑張っています。 今後ともぜひ活用いただければと思っています。
岡本:専門家は、皆さん方に理解してもらえる易しい言葉で説明でき、能力が十二分に発揮できるように自己研鑽に努め、皆さん方のパートナーとして応えられる体制作りがいると思います。それと、パートナーを選ぶ際に、選定理由を説明できる資料・情報を集め、皆さん方が判断できる能力を身につける必要があると思います。
八杉:管理も大変ですが、建替えも確かに大変なんです。ただいずれも先送りができないという問題だと思います。再投資は必要ですが、自分が住み続けたい地で再投資をこんな風にしようという明るい展望を持って建替えを進めていくことも考えられます。
池上:どちらにしても、非常に体力や辛抱が必要だし、争いごとを作って喧嘩をしてしまったら終わりです。初めから計算してできるものではないし、正直、長期間かかる問題だと実感しました。
葛籠:私の所も平成2年から取りかかり、大規模修繕工事が終わって竣工祝賀会をしたのが平成7年1月16日でした。翌朝が例の大地震でまたひび割れの補修工事を行い、大変な道のりでした。でも9年経っても大きなひび割れがなく、廊下も防水もよくきいているし、しっかりと修繕ができています。やはり2回か3回くらいは大規模修繕を行い、その後に建替えに向かっていくのが当然でないのかと思います。
海野:今日の資料にも実際の広報の事例がありますが、常々広報されていたということが、それぞれの修繕や建替えの成功の一因かということも感じました。それから専門家の協力なしではやはり進められなかったというお話、専門家以外では難しいというアドバイスの両方がありました。専門家の力は大事かと思います。それからパートナー選びのコツを大切にすると円滑な再生ができるのかなと思います。日頃から、お住まいのマンションをいかに適切に維持管理していくか、愛着を持って管理をしていくことが非常に大切なことかと思います。今後、修繕あるいは建替えということに関して前向きに皆さんの関心を高めていっていただければと思います。
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