セミナー情報

「マンションらいふあっぷ基礎講座」報告

11月12日
多くの管理組合さんが悩んでおられる管理費等滞納への対策や、マンション共用部分 リフォーム融資、管理組合会計などをテーマに開催しました。 管理費等滞納への対策

●管理費等の滞納に対する予防策
 予防策としては、まず徴収方法を明記する。それも自動振替にしておくことが望ましいでしょう。次に、遅延損害金等の定めを管理規約にしておくこと。管理規約に定めがなくても、民法上5%の遅延損害金を請求できます。ただ高めの利率を設定すれば、滞納に対するプレッシャーになります。さらに弁護士費用・訴訟費用も、滞納者に負担してもらうことを管理規約に書いておくのも一定の意味があります。次に対応マニュアルを作り、周知徹底する。同時に滞納者リストの作成と滞納状況の不断のチェックが必要です。水道や電気等の滞納者に、水道や電気を止めることが許されるのか。駐車場使用契約を一方的に解除することが許されるのか。滞納者の氏名を公表してもいいのか等の問題がありますが、問題が大きくなる前の最大の予防策は、信頼関係を築くことではないかなと思います。
●管理費等の滞納が発生した場合の解決策
 管理費等の滞納が発生した場合の解決策として、まず滞納理由を聞くことです。意図的に悪意をもって払わない人と、経済的な理由から払えないという人と区別して対応する必要もあります。まず口頭によって請求。それでも払ってくれない場合は、文書による督促になります。(1)ポストに直接投函、(2)掲示板での通知、(3)配達証明付郵便の送付、(4)内容証明付内容証明郵便の送付の順になります。(4)は、消滅時効(消滅時効期間は5年)を中断する手段にもなります。これらの措置をとった結果、分割弁済などの合意を取り付けた場合は、合意書、念書を作成すること。でも確信犯的に「私は絶対払わない」と言っている人には、合意書や念書は作れない。その場合には裁判になります。5年経過する前に、最後は裁判をしないといけない。あるいは、区分所有法の競売申立が使えます。

わかりやすい管理組合会計

●収支予算表を作成し、総会で承認を受ける
 管理組合は予算会計でやります。一般の会社でも予算会計ですが、少し違うのは、管理組合は、各区分所有者からお金を供出していただいて、そのお金を管理組合の目的達成のために使う。それが管理組合の会計の目的です。管理組合の収入は、管理費と修繕積立金です。これは必ず払わないといけない。標準管理規約の第25条に「区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費等を管理組合に納入しなければならない」と書いています。支出は、第27条に、管理組合は区分所有者から預かった大事なお金を、「通常の管理に要する経費に充当する」と書いてあります。それで収入と支出の予算表を作り、総会に提出して皆さんの承認をもらう。1年が終わると今度は実際に使った収入と支出を収支予算表に書いて、実際の出費と予算の差異を分析して、区分所有者の了解をもらう。これが予算会計と言われるものです。
●非営利会計だから損益計算書はなし
 管理組合会計の特色をいくつか紹介しましょう。管理組合会計の一番大きな考え方は、非営利会計ということです。一般の企業は営利企業ですから、お金もうけですね。また、会計処理は一般会計原則に基づいて処理します。真実性及び明瞭性の原則ですね。ですから収支計算書や貸借対照表などの財務諸表は真実でなくてはいけない。目的別会計とは、「修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない」とされています。管理費会計と修繕積立金会計は区分して管理しろという考え方です。一緒にすると必ず問題が起こります。また、一般企業会計は損益計算書ですが、管理組合会計は収支報告書です。というのは管理組合は基本的に損益がありません。ですから収支報告書でいいのです。

ミニ講座2 マンション共用部分リフォーム融資
1戸あたり150万円まで 無担保で融資が受けられます。
講師 工藤 俊則(くどう としのり)
住宅金融公庫大阪支店 まちづくり推進グループ長
 公庫の「マンション共用部分リフォーム融資」の特長はいくつかありますが、まず、管理組合名義で申込みができるため管理組合代表者の“個人名義”での借入とはならないことがあげられます。また、管理組合の法人格の有無も問いません。ご融資額は1戸あたり150万円以内で工事費の80%まで融資が受けられます。なおかつ、財団法人マンション管理センターが管理組合の保証をし、無担保での借入が可能ですので、理事長様個人の物件に抵当権を設定することもござませんので安心してご利用いただけます。返済期間は管理組合申込みの無担保コースの場合、最長10年の固定金利でのご利用となります。金利は申込み時点の金利が適用されますので、返済計画が立てやすいことも特長の一つです。また、耐震改修工事をされる場合は通常より0.3%金利が優遇されます。マンションの大規模修繕も築年数が経過し、2回目、3回目ともなると修繕積立金が不足する場合も出てきますので、そのような場合は是非公庫融資の活用をご検討ください。  ※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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