大規模修繕の進め方やガス設備の更新、そして管理組合の最高の意思決定の場である総会の進め方のポイントを「模擬総会形式」で再現し、解説しました。
●工事の準備段階こそ重要な部分です
大規模修繕工事の準備は、一般的に以下の順番で進められます。
[1]アンケート→[2]現地調査→[3]修繕項目範囲の検討→[4]改修工事の検討→[5]仕様・工法・工期の検討→[6]概算予算の検討→[7]組合財政との調整→[8]修繕項目・範囲・改善・改造・仕様の決定→[9]工事中の生活への影響問題の検討→[10]仕様書の作成→[11]仕様書の最終確認→[12]見積参加会社の検討→[13]施工者決定のルール検討→[14]見積参加会社の決定→[15]現場説明→[16]質疑応答→[17]見積書徴収・検討・接渉・決定→[18]理事会又は総会の承認→[19]契約→[20]居住者への工事説明会→[21]着工前打合せ→[22]着工。
準備段階から検討事項を経て、工事施工者を決め、工事にかかりますが、この一つ一つを確実にやっていけば大規模修繕工事は間違いなくできます。とくに工事の準備段階が非常に重要で、工事が始まった時点で、もう7割くらいプロジェクトとして経過しています。足場が立って一般の人が「うちのマンション、大規模修繕工事が始まったな」と思った時は、残りは3割ほどです。また、工事後の点検も重要です。1年点検は最近でよくやられていますが、3年点検、5年点検はあまりされていません。最初の契約時点で含めておいていただきたいと思います。
●修繕だけでなく、改修工事も必要に
マンションも20年30年たつと、修繕だけでは済まなくなります。修繕以外に、エントランスホールのグレードアップや自転車置き場、駐車場等の外構改修、バリアフリー工事など、マンション共用部分の改修工事を合わせて行うケースが増えています。なぜ改修工事が必要になるか。まず、高齢化と世帯数の減少という社会問題があります。世帯数が減ると住宅が余ってきます。でも不思議なことに、マンションは今もどんどん建ち続けています。そういう状況の中で、生き残っていくマンションは、常に住まい方を管理組合として考えて改修を加えているマンションです。居住者から何を不便と思っているか、何を足りないと思っているかなどを意見聴取します。そして「ずっと住もう」と思うマンションに変えていく。費用対効果もありますが、今私が幾つかやってきている中で、いいと思ってやった事で、後で費用についてのクレームが来たことはありません。必要なことをやるためには躊躇せずに決心をして進めていくことが必要です。
16号から24号への変更で ガス給湯器の能力不足を解消
講師 岩崎 聡史(いわさき さとし)
大阪ガス(株)大阪リビング事業部
給湯設備の種類は100以上あります。大きくは設置場所・能力・機能などで分類されます。たとえばマンションに設置するタイプなら、設置場所によりチャンバ式・PS(パイプシャフト)設置式・屋外式などがあります。ガス給湯器の能力で言えば、以前は代表的なものが16号、今出ている能力の大きいのは24号です。「号数」とは水温より25℃高いお湯を1分間に出せる湯量の数値です。16号はワンルームマンションや2カ所給湯に、24号はファミリータイプや3カ所給湯に付けています。ご家族が増えると24号の方がいいですね。お風呂のお湯を張る時間も24号なら10分程度です。給湯器は家の設備ですので、給湯器の取り替えでお金を払うのは区分所有者さんですが、設備更新の際に共用部の変更をともなうことがあります。共用部分の変更となると管理組合様で検討していただく必要があり、私どもでは工事仕様書を作成・検討することで、マンションの美観を保ちながらより快適な生活ができるようお手伝いさせていただいております。また、設置可能な給湯器の号数は私どもで調査をしていますので、気軽にお問い合わせください。
※(注)講座1〜6&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。←前へ 次へ→