セミナー情報

マンションらいふあっぷ基礎講座


融資、法律、管理会社との関係などマンションの管理組合運営に関してのポイントをテーマとした講座を開催しました。 講座1 マンションの適正な維持管理について
 住宅金融公庫は「公庫融資マンションの維持管理基準」を定め、「公庫マンション維持管理ガイドブック」を作っています。管理規約が基準に適合しているかを判断するものです。チェック項目には、「敷地、建物、付属施設及び共用部分の範囲が定められているか」などがあります。例えば問題になるのは、管理人室が共用部分なのか、規約に定められていないケースなどです。
 「管理費や修繕積立金を管理組合に納入するように定められているか」という項目もあります。中には「理事長に収める」という管理組合もあります。
 これらのチェック項目は、最低限の基準です。このチェックで「待てよ」ということがあるようなら管理規約を見直す必要があります。
 「修繕積立金の1戸当たりの平均月額が、築年数に応じて、築5年未満6,000円以上、築5〜10年7,000円以上、築10〜17年9,000円以上、築17年以上10,000円以上あるか、という項目もあります。これくらいないと長期的な修繕は難しいという最低基準です。
 ガイドブックの後半は、「共用部分維持管理履歴簿編」になっています。日常点検は管理組合が自主的に実施する必要があります。点検箇所は「自主点検調査票」を参照してください。
 「法定点検に関する記録シート」は、ずっと付けていくと車の修繕記録表のようになって、大切に管理されてきたことを示す記録となり、マンションの資産価値の維持に役立ちます。
 マンションの長期修繕積立金を、公庫の債券という形で積み立てていただく「マンションすまい・る債」は、10年間積み立てができます。1年以上経てば、自由に換金することができ、元金が保証されるのが大きな特徴です。銀行のペイオフ対策として活用されている管理組合が多いようです。
 また、大規模修繕の進め方や、ポイントを詳しく説明した、「大規模修繕マニュアル」も、じっくりお読みください。 講座2 マンション生活における法律の基礎知識
 マンションに関わる法律というのは主に「建物の区分所有等に関する法律」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」、その他に「民法」などがあります。また、法律以外で重要なのが個々のマンション毎に定める「管理規約」です。
 「区分所有法」の基礎になる考え方は、マンションは自分一人のものではない、共有物であるというところからスタートしています。区分所有法というのは民法の特別法です。マンションは共有物ではありますから、全体の変更は4分の3以上の多数決で決めるということになります。複数の住人が一つのものを利用するために、一人でできることとできないことが出てくるわけです。一人でできる範囲というのが専有部分であり、できない範囲が共用部分ということになります。共用部分には「法定共用部分」と「規約共用部分」があります。「廊下」などは当然に法定共用部分です。「規約共用部分」とうのは、本来なら独立性があって専有部分としての要件を備えているが、みんなで話し合って共用部分にしたものです。集会室や管理人室などがこの部分に当たります。
 また、バルコニーやベランダは、共用部分ですが、個人が専ら使用する「専用使用権」が認められています。
 次に区分所有法で「管理組合」は、「建物ならびにその敷地及び付属施設の管理を行う団体」ということになっています。「管理者」は通常理事長と考えればいいと思います。管理組合の役員については法人化されない場合、法律上の定めはありません。役員の業務については管理規約に書かれています。理事と区分所有者との間は委任契約があり、契約責任が生じます。総会についての手続きは、管理組合は年に1回定時総会を開かなければなりません。そして組合員に1週間前に審議事項とともに通知しなければなりません。定時総会以外に区分所有者の5分の1で、議決権の5分の1の賛成があれば、臨時総会を開くことが可能です。決議には普通決議と特別決議があります。特別決議は4分の3以上、または5分の4以上の賛成が必要という決議です。貸借人には決議権はありませんが、総会に出て意見を言うことは認められています。
 管理組合の法人化という問題がありますが、以前は30戸以上の管理組合だけが認められていましたが、現在は全ての管理組合に法人化が認められています。
 管理規約で何を決めるかというと、主なものとして区分所有者の基礎的な法律関係に関する事項、区分所有者間の意思決定の方法や管理組合の組織に関する事項、専有部分を含む部分の使用方法や区分所有者間の利害関係の調整、そして義務違反者に対する措置に関する事項の4つくらいが挙げられます。
 建替えの問題については大きく変わりました。従来は費用の過分性といって、修繕するために費用がたくさんかかる場合には建替えを認めましょうということだったのが、今回の改正で5分の4の賛成を得られれば建て替えられるということになりました。建替え円滑化法ができたことによって、建替えがかなりやりやすくなったといえます。
ミニ講座1 管理会社との良好な関係をめざして
粘り強く交渉して管理会社との契約内容、管理委託費を大幅に改善
講師 今西 正晃(いまにし まさあき)
中津パークマンション管理組合 前理事長
 管理組合理事長になって最初に手がけたのは管理委託契約書の見直しでした。管理委託契約書を見直してみると、「管理委託料金の前払い」や「会計報告は常勤の管理員がいるところでないと出せない」といった不合理な箇所がたくさん見つかったのです。最優先課題として委託契約書の条文と委託料の是正を行うことにしました。主な改正点を紹介すると、法に基づいて基幹業務の外注禁止を定め、委託料の前払いを改めました。月次報告書についても提出してもらうことになりました。「管理組合と管理会社は運命共同体という強い結びつきがある」という信念で交渉しました。
 今後の管理のあり方ですが、管理は区分所有者が自主的にやらねばならないと法律に書かれていますが、マンション管理士を雇ったりすることも考えてはどうかと思います。    ※(注)講座1〜5&ミニ講座1〜3の講師の役職、部署等は講演時のものです。
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