快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
マンション設備のトラブルに対する対処法をはじめ、消防点検のポイントや防災訓練の大切さ、そして古くなったガス設備のリニューアルなどをテーマに開催しました。
●ペット、駐車場、騒音が3大トラブル
(社)高層住宅管理業協会が平成17年に苦情相談状況をまとめた資料をみますと、苦情が多いのは、まずペットの問題。そして駐車場の問題。これは違法駐車の問題です。そして音の問題。最近はこの音の問題が管理組合にとって悩ましい問題になっています。ペット、駐車場、騒音が3大トラブルといわれています。その他、水漏れなどの設備関係の問題や防犯対策の問題などがトラブルとして非常に多くなっています。
●トラブルの対応基本原則
トラブルの対応基本原則をご紹介します。まず対応ルート、すなわちトラブル時にどこに相談すればよいかなどを把握しておくことです。そして逃げ腰にならず積極的に迅速に対応することです。さらに管理組合の理事会などで経過の報告をしておく。このように初期段階から話し合いや分析を進めていけば解決の糸口が見つかります。こうしたことを積み重ねますと大切なデータになります。 お互いの言い分を聞き、2つ、3つと代替え案をだして話しあうことが大切です。さらに理事会、管理会社と密に連絡をとる。当事者同士で解決するのは難しいと思います。そして、理事会の役員になられた方は、管理規約と使用細則、それと管理委託契約書に目を通していくこと。法律的なことを知っておけば、逆に解決のためのアドバイスができるようになります。
●音の問題解決について
音の問題は、昨今、非常に大きな問題になっています。上下階でいろんな音がうるさいという話が聞かれます。洗濯機、ピアノなどの日常生活音の大きさを理解しておけば、音を出す側の意識も違ってくると思います。ただ、音の感じ方には非常に個人差があります。自分は不快に思わなくても、他の人は不愉快な音に聞こえることがあったりします。そういう時はどうすればいいのか。やはり日頃のコミュニケーションです。上下階でお互いが顔見知りになっておく。顔見知りになっておけば、トラブルにならずにすみます。
●設備関係の漏水トラブルについて
設備関係のトラブルですが、主に漏水についてお話しします。専有部分の漏水は、お住まいになっている方が気をつければ解決することはできます。もし機器類から水が止まらないときはどうするか。その時は止水栓を止めます。それともう一点は配管を壊したとか、何らかの事故で配管から水が漏れる時は、まず玄関を出た共用部分にパイプスペースがあります。そこに量水器があります。この量水器横のバルブを止めていただくと、共用部分からの水が供給されませんから水は止まります。緊急の場合は、こちらを止めていただくことが大事です。
●一番簡単な漏水の見分け方
機器類ではなくて配管のトラブルによって漏水をおこすこともあります。我家が漏水しているのか、配管が漏水しているかの一番簡単な見つけ方は、各部屋の機器を全部閉栓していただいて、量水器の蓋を開けてみていただく。そこでパイロット針がくるくる回っている場合は漏水している。全部閉めているのにここが回っているということは、どこかから漏水していることになります。
●維持管理は誰が行うか
私は維持管理なんて知りません、とは言えません。なぜなら、マンションの所有者である限り、必ず維持管理をする必要があると建築基準法第8条1項にあるからです。そして管理組合をサポートするのが、マンション管理士や管理会社、建築士などです。
資産区分は、道路側のガス管が大阪ガスの資産になり、敷地境界から内側のガス管がお客様資産です。従って敷地内のガス工事費に関しましては、お客様に費用が発生します。4年前から改修費用の一部を、国が補助する「経年埋設内管対策補助金」があります。最大で工事金額の半額(上限1000万円)の補助が国から出ます。ただし、ガス管の埋設年が昭和50年以前であること、建物が鉄筋・鉄骨系建物であること、ガス管が建物の下に埋設されていること等の条件があります。皆様のマンションでも、対象になっているかも知れません。マンションの建築年数などを確認して頂いたうえで、私どもにご連絡いただければと思います。
<お問い合わせ先>
大阪ガス(株) 大阪導管部 設備改善チーム
経年内管改善グループ
TEL:06-6586-1107
大阪市内の火災の発生状況ですが、平成19年は1392件発生しました。そのうち建物火災が944件。この建物火災のうち約45%が共同住宅と併用共同住宅の火災です。これは分譲マンションだけではなくて、木造の共同住宅なども入った数字です。また、火災原因としては、放火が一番多くて、次にたばこ、天ぷら油、ガスこんろレンジの4つが多くを占めています。
●消防法に定める防火管理制度と点検報告義務
消防法では、防火管理の推進役としての防火管理者を定めて、消防計画の作成や、計画に基づいて防火管理上必要な業務を行うように義務づけられています。同じく消防法では、消防用設備等の種類ごとに、点検の内容と期間が定められています。外観点検、機能点検、作動点検は半年ごと、総合点検は1年ごとに点検することが、定められています。
●防火施設等のチェックポイント
防火施設は、火災の延焼拡大や煙の拡散を構造的におさえるもので、耐火構造の壁、床、防火戸、防火シャッターなどで構成されています。点検ポイントは、防火戸・防火シャッターに閉鎖障害がないかどうか、完全にぴたっと閉まるかどうかなどです。そして自動閉鎖装置、一般的にドアクローザーといいますが、これがきちんと機能するかどうかも点検のポイントです。
●避難施設のチェックポイント
避難施設としては、避難通路、避難口、階段などがありますが、バルコニーも一時的な避難場所として重要な部分です。多くの場合、隔壁があって、この隔壁を破って隣の住戸に移れるような構造になっています。このバルコニーの管理をしっかりしておかないと、火災が延焼拡大する可能性もあります。ですから日常、各ご家庭で可燃物を置かない等気をつけていただくことが大切です。
●自衛消防訓練
万が一の時に的確に組織だって動いていただくためには、日頃から自衛消防訓練を行うことが必要です。訓練には、通報訓練、消火訓練、避難訓練、そしてこの3つを総合的に行う総合訓練があります。時間をとっていただくのは大変だと思いますが、自衛消防訓練は人命の保護と災害の拡大防止のためにも必要なことです。組織だった活動ができるようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。