快適なマンション生活を送るために、設備の維持管理は重要なテーマになっています。管理組合の役員になられた方などを対象に、専門家が様々な角度からマンション設備について取り上げ、わかりやすく説明しました。
自分のマンションの給排水設備配管や給排水方式を知ることの大切さ、そして維持管理に向けた資金計画、吹き付けアスベスト除去等補助制度をテーマに開催しました。
●維持管理から建替えまで、資金面で支援
マンション管理組合の皆様は、修繕積み立て用として、マンションすまい・る債を購入し将来に備えていただくことができます。また実際に修繕する段階では共有部分リフォーム融資があります。建替えでは住宅金融支援機構の融資を活用いただくことができます。
●マンションすまい・る債の6つのポイント
マンションすまい・る債は、毎年1回、私ども住宅金融支援機構が発行する債券です。ポイントは次の6つです。①お預かりした積立金は、機構の資産から優先的に弁済されることが法律で定められており、保全が図られています。②積み立てた債権は、機構が無料で保護預かりします。③管理組合のニーズにあわせた積立ができます。④毎年1回定期的に利息をお受け取りいただけます。⑤修繕のための中途換金は購入から1年経過で可能です。⑥各種特典が受けられます。詳しくは、ホームページ(http://www.jhf.go.jp)をご覧下さい。
アスベストは、過去に壁や天井等の建材として幅広く用いられてきましたが、吸い込むといちじるしい健康被害を起こす恐れがあります。もしかしたら皆さんが管理しておられるマンションにアスベストがあるかも知れません。アスベストの有無の調査方法は、図面等を確認のうえ、専門機関での分析調査が必要です。分析の結果、アスベストがあると分かった場合、予防対策が必要です。対策工事としては「除去」「囲い込み」「封じ込め」の3種類あります。
大阪市では、アスベストによる健康被害に対する市民の不安を解消するために、露出した吹付けアスベストの含有調査と対策工事を行うときの一部費用を負担させていただいています。この事業は平成18年度から3年間の事業で、今年度が補助最終年度です。申込受付は11月末までです。申し込み前に事前協議が必要ですので、早めにご相談ください。詳しいことは監察担当にお気軽にお電話ください。
<お問い合わせ先・事前協議先>
大阪市計画調整局建築指導部監察担当
TEL:06-6208-9318
大阪市では、アスベストによる健康被害に対する市民の不安を解消するために、露出した吹付けアスベストの含有調査と対策工事を行うときの一部費用を負担させていただいています。この事業は平成18年度から3年間の事業で、今年度が補助最終年度です。申込受付は11月末までです。申し込み前に事前協議が必要ですので、早めにご相談ください。詳しいことは監察担当にお気軽にお電話ください。
<お問い合わせ先・事前協議先>
大阪市計画調整局建築指導部監察担当
TEL:06-6208-9318
●配管の種類は様々あります
主に給排水管の維持管理のご説明をさせて頂きます。一口に給水管といっても、道路から引き込んでいる本管、埋設されている管と、ポンプ室から屋上へと上っている管、各戸のメーターボックスの中に入っている配管、メーターから住戸の中の配管と、大きく分けてもそれくらいの種類がありまして、その配管がどういう材料かによって、傷み方と改修の仕方が変わってきます。従って、まず一番重要なのが、お住まいのマンションにどういう配管が使われていて、それがどれくらい年数が経って、どの程度痛んでいるか、ということを正確に知ることが必要です。
●給水管の種類と特徴
一般的に多く使われているのが、硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP)です。鉄管の中に塩化ビニル管(塩ビ管)が挿入されて入っています。耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP)は、錆びることはありませんが、ウォーターハンマーなどの衝撃で割れることがたまにあります。高性能ポリエチレン管は一番衝撃にも強く、耐久性もあります。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管は主に屋内の専有部分の配管で、最近のマンションはほとんどこの2つの種類のうちのどちらかが使われています。比較的自由に曲がりやすい管です。鋳鉄管は共用部分で、本管からの引き込み等で使われている、口径の太い管です。鉛管は、5年ほど前から国の水質基準が強化され、今は使用できません。
●排水管の種類と特長
排水管として主に使われているのは塩化ビニル管です。一般にVPと呼ばれ、材質は同じで厚みの薄いVUというものもあります。耐火二層管は硬質塩化ビニル管の周りに耐火被覆がされており、防火区画貫通に使用されています。配管用炭素鋼管は、いわゆるガス管、SGPと呼ばれている配管です。一番寿命の短い配管で、要注意な配管です。排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(DVLP)は、VLPと同様、鋼管内に塩ビ管が挿入された管で耐久性が高い管です。
鋳鉄管はトイレの排水などに使われている配管です。銅管は非常に耐久性の高い配管で、30年経っても心配いらないし、問題も起きていません。特殊コーティング管は一時流行りましたが、5年くらい前にメーカーが倒産して、代替部品がないため、今後の維持管理に気をつけていく必要があります。
●給水設備の給水方式
一般的なシステムは、高置水槽方式です。15年以上前のマンションはこの高置水槽方式が多いと思います。デメリットは、上階では水圧がかなり低くなることです。ポンプ圧送方式は、高置水槽がありません。受水槽で貯めた後、圧送ポンプを使って各戸に直接給水しています。大規模なマンションや超高層のマンションはほとんどすべてこのタイプです。
ブースターポンプ方式は、増圧給水方式とも呼び、最新の方式です。高置水槽も受水槽もなく、本管から各戸の蛇口まで水槽を経ずにフレッシュな水が送られてきます。直結給水方式は、大阪市では3階までポンプを使わずに上げられる形式です。タウンハウスや低層マンションに限られます。
●増圧給水方式に改修
増圧給水方式に変更する場合、最寄りの水道局に行き、事前協議をします。30年くらい経った古いマンションで、配管を替えるだけではなく、ブースターポンプを入れるなどの改修工事を同時にやれば、画期的な改修ができると思います。増圧給水方式の長所は、水の安全性が高いことと省エネの2つ。そして維持管理費の軽減で、水槽の清掃や水質検査がいらなくなります。また、上階の水圧の低さが解消され、受水槽ポンプ室の跡地が有効利用できます。耐震上も高置水槽を取ることで、若干のメリットがあります。
●排水方式
排水管は、住戸の中で流した水が高いところから低いところへ問題なく建物の外に流れていくことが基本です。ただ、排水管の方が給水管より問題点が非常に多いです。なぜ難しいかというと、自然の力でスムーズに水を流してやらないといけないということで、ちょっとでも勾配が緩いと水が流れません。また、緩いところに一気に水を流すと、ボコボコという音が鳴りますし、洗面所とか洗濯機のところに吹き上がってくるというようなことが起こりえます。そういうことを未然に防ぐことが必要になります。
●給排水管の更新と更生
「更新」は、配管を新しく取り替えることで、「更生」は配管を取り替えずに、配管の内部を樹脂でコーティングすることです。給水管ですが、基本的にはメーターまでの配管が共用部分で、メーターから内側の配管が専有部分です。給水管は原則、「更新」で対応します。中には管理組合が専有部分の配管まで直さなくてもいいとおっしゃる方もいると思いますが、住戸内の洗面所の床下などを各個人がまちまちにやるよりは、管理組合が専有部分を含めて給水管と排水管、できれば給湯管の3つの配管をまとめて交換するのがベストだと思います。また、「更生」についてですが、給水管の「更生」は、技術的にも改善され、改修工事の実績もできてきています。
一方、排水管の「更生」は、比較的最近の技術で、急速にライニング工法が普及してきています。排水管は取り替えようと思うと、台所からトイレ、洗面所、お風呂などすべて床下を通っていますから、リフォームするくらいあちこちの床をめくらなくてはなりません。その上、排水管の取り替えに、3日も4日も家にいないといけません。だから排水管は「更生」がベストだと思います。
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主に給排水管の維持管理のご説明をさせて頂きます。一口に給水管といっても、道路から引き込んでいる本管、埋設されている管と、ポンプ室から屋上へと上っている管、各戸のメーターボックスの中に入っている配管、メーターから住戸の中の配管と、大きく分けてもそれくらいの種類がありまして、その配管がどういう材料かによって、傷み方と改修の仕方が変わってきます。従って、まず一番重要なのが、お住まいのマンションにどういう配管が使われていて、それがどれくらい年数が経って、どの程度痛んでいるか、ということを正確に知ることが必要です。
●給水管の種類と特徴
一般的に多く使われているのが、硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP)です。鉄管の中に塩化ビニル管(塩ビ管)が挿入されて入っています。耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP)は、錆びることはありませんが、ウォーターハンマーなどの衝撃で割れることがたまにあります。高性能ポリエチレン管は一番衝撃にも強く、耐久性もあります。
架橋ポリエチレン管とポリブデン管は主に屋内の専有部分の配管で、最近のマンションはほとんどこの2つの種類のうちのどちらかが使われています。比較的自由に曲がりやすい管です。鋳鉄管は共用部分で、本管からの引き込み等で使われている、口径の太い管です。鉛管は、5年ほど前から国の水質基準が強化され、今は使用できません。
●排水管の種類と特長
排水管として主に使われているのは塩化ビニル管です。一般にVPと呼ばれ、材質は同じで厚みの薄いVUというものもあります。耐火二層管は硬質塩化ビニル管の周りに耐火被覆がされており、防火区画貫通に使用されています。配管用炭素鋼管は、いわゆるガス管、SGPと呼ばれている配管です。一番寿命の短い配管で、要注意な配管です。排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(DVLP)は、VLPと同様、鋼管内に塩ビ管が挿入された管で耐久性が高い管です。
鋳鉄管はトイレの排水などに使われている配管です。銅管は非常に耐久性の高い配管で、30年経っても心配いらないし、問題も起きていません。特殊コーティング管は一時流行りましたが、5年くらい前にメーカーが倒産して、代替部品がないため、今後の維持管理に気をつけていく必要があります。
●給水設備の給水方式
一般的なシステムは、高置水槽方式です。15年以上前のマンションはこの高置水槽方式が多いと思います。デメリットは、上階では水圧がかなり低くなることです。ポンプ圧送方式は、高置水槽がありません。受水槽で貯めた後、圧送ポンプを使って各戸に直接給水しています。大規模なマンションや超高層のマンションはほとんどすべてこのタイプです。
ブースターポンプ方式は、増圧給水方式とも呼び、最新の方式です。高置水槽も受水槽もなく、本管から各戸の蛇口まで水槽を経ずにフレッシュな水が送られてきます。直結給水方式は、大阪市では3階までポンプを使わずに上げられる形式です。タウンハウスや低層マンションに限られます。
●増圧給水方式に改修
増圧給水方式に変更する場合、最寄りの水道局に行き、事前協議をします。30年くらい経った古いマンションで、配管を替えるだけではなく、ブースターポンプを入れるなどの改修工事を同時にやれば、画期的な改修ができると思います。増圧給水方式の長所は、水の安全性が高いことと省エネの2つ。そして維持管理費の軽減で、水槽の清掃や水質検査がいらなくなります。また、上階の水圧の低さが解消され、受水槽ポンプ室の跡地が有効利用できます。耐震上も高置水槽を取ることで、若干のメリットがあります。
●排水方式
排水管は、住戸の中で流した水が高いところから低いところへ問題なく建物の外に流れていくことが基本です。ただ、排水管の方が給水管より問題点が非常に多いです。なぜ難しいかというと、自然の力でスムーズに水を流してやらないといけないということで、ちょっとでも勾配が緩いと水が流れません。また、緩いところに一気に水を流すと、ボコボコという音が鳴りますし、洗面所とか洗濯機のところに吹き上がってくるというようなことが起こりえます。そういうことを未然に防ぐことが必要になります。
●給排水管の更新と更生
「更新」は、配管を新しく取り替えることで、「更生」は配管を取り替えずに、配管の内部を樹脂でコーティングすることです。給水管ですが、基本的にはメーターまでの配管が共用部分で、メーターから内側の配管が専有部分です。給水管は原則、「更新」で対応します。中には管理組合が専有部分の配管まで直さなくてもいいとおっしゃる方もいると思いますが、住戸内の洗面所の床下などを各個人がまちまちにやるよりは、管理組合が専有部分を含めて給水管と排水管、できれば給湯管の3つの配管をまとめて交換するのがベストだと思います。また、「更生」についてですが、給水管の「更生」は、技術的にも改善され、改修工事の実績もできてきています。
一方、排水管の「更生」は、比較的最近の技術で、急速にライニング工法が普及してきています。排水管は取り替えようと思うと、台所からトイレ、洗面所、お風呂などすべて床下を通っていますから、リフォームするくらいあちこちの床をめくらなくてはなりません。その上、排水管の取り替えに、3日も4日も家にいないといけません。だから排水管は「更生」がベストだと思います。